そばに 3【煉獄杏寿郎】

27 鹿鳴館・血鬼術 ページ27

「食らうとは情けねーな」

バタバタ暴れて振り解こうともがく


「変わろう」

音柱が変わって押さえつけた
爪が伸び額に血管も浮き出ている


「鬼化の血鬼術か」

「A…さん…」


音柱に付いてきた剛典
Aの変わっていく姿に怯む


「部屋を用意する。こちらだ」

怯んだが迅速に次の行動を整えた




案内された一室、自分の かつて見合い相手になろう娘の姿を何とも言えない思いで見る

Aさん、なんて事だ、もっと違う人生があっただろう
君なら輝かしい未来があったはずだ
こんなになってまで何故剣士になるのか

出来る事はない…任せるしかない

「戻らなければならない。ここには誰も近づけないようにする」

「助かる」

複雑な思いを押さえ込み部屋を出て行った


隊士の腕に傷を認めた音柱が声をかける

「お前も自分の手当をしろ」

「はい」


「薬を飲ませて帰るか」

隠が液体の解血剤を持ってきた


「よし、飲ませろ」

飲ませようとするが嫌がり振り払う


「何で錠剤じゃねんだ」

「…喉に詰まるから…？」

「飲めるやつをよこせと胡蝶に言っとけ！」

「ひっ、はぃぃーー」涙目の隠


「早期撤収なんだが、仕方ねーな」

手刀で延髄を軽く叩き気絶させた

「帰るぞ」

行った側から覚醒し暴れ出す

「なんだ、目覚ましやがった」

それをきっかけにさらに暴れ鬼化が進む


「おい、お前ら子守唄歌え」

　｢｢え？子守唄…｣」

「ねむれ〜ねむれははのむねに〜

「かぁ〜らぁ〜すぅ〜なぜなくのぉ〜

「ああ、もういい」



「お前口移しで薬飲ませろ」

「え、ええ？や、やってみます」

そう言ったものの今にも噛み付かれそうになりとても無理だった


「む、無理そうです…」

「せ…先輩ごめん…さい…う、宇髄さん、私…」


まだ自分を保っているA
今なら、と思い飲ませる事を試みるが
口をつけようとすると噛んでくる

「やっぱり無理です」

鬼化したとはいえ、柱にとっては赤子同然、ただ帰る道中、目立ってしまうのは具合が悪い。同じ理由で縛り付けて帰るのも躊躇する。何より本人を楽にさせたい。


「俺が飲ませる。いいな」


フーと威嚇しながらもコクンと頷いた。


目の色は変わり爪も伸び顔に浮き出る血管も増えていく


　 苦しい、身体が焼けるように熱い


抑えられてる手の爪を音柱に向けた


　 だんだん、自分じゃなくなる


手足を振り解こうと暴れる

色の変わった目を向け、牙を剥き

自分を組み敷いてる音柱を威嚇した


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