そばに 1【煉獄杏寿郎】 (ページ6)

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6 稽古・掛かり稽古ページ6

「打ち込んでこい」

全く隙がない

どこに打ち込めばいいのか

「ためらう事はない、君の実力を確認するだけだ」

言われた通り、ためらわず打ち込むのだが

いなされる時の腕に伝わる衝撃が凄まじい

手がしびれる

このままでは竹刀が握れなくなる

いなされる打突を予測して力を逃すしかない

もはやどちらが打ち込んでるのか分からない

慣れてきたと思った頃に打突部を変えられる

これを何回か繰り返され

最後は無造作に変えられた

予測が追いつかず、これは、もう…

「無理」

腕を下ろした

「はは、まあいいだろう」

「次は俺のを受けてみろ」

急いで構えようとした、刹那

こめかみに竹刀の先端がぴたっと止まる

「気を抜くな、集中」

けっして気を抜いてはないけども

見えなかった

受けるというより受けさせてもらってる感じだ

速い、なによりとても重い

手加減されてこれだ

「悪くないが右にブレるな。

　左の脇をしめろ」

左の胸の下辺りに何度か竹刀が軽く当たる

また、当たる

締めてるのに

バシッ

竹刀を振り落とされた

同時に杏寿郎も手から竹刀を放す

手ぶらになった左手を掴まれ

何度か竹刀で当てられたそこへ

杏寿郎の左手がぐっと乗ってくる

「…っ…」

「脇をちゃんと締めないとここをやられる」

「〜〜…」

掴まれている所に全神経が集中し
身体がカァーと熱くなった

「どうした、顔が赤いぞ」

緋色の瞳を揺らしながら顔を覗いてくる

「大丈夫か！

　耳まで赤いぞ！熱でも出たか」

後頭部を掴まれ

おでこをコツンと当てられる

「……っ…///」

ち、近い

この距離に耐えれず

掴まれた左手を払い

掴まれた頭の手を退かし

杏寿郎の肩を両手で押す

が、ビクリとも動かない

再度、強めに押したが全く動かないので

自身が後ろに下がった

「……」

「……」

「厠の場所は、変わってないぞ」

……厠…？

…厠に行きたいと思ったのだろうか…

顔が赤くなる程に…

それはそれで恥ずかしいのだが……

「行かなくていいのか」

「行かなくていい」

「そうか、では続きだ」

「振り下ろしてみろ」

「ちがう」

「まっすぐ振り下ろせ」

「君は右の肋骨、もしくはその辺り
　怪我をした事があるんじゃないか？」

「あー、ある」

鬼に引っかかれ、傷を負った。

怪我は大したことはなかったが、
ただ怖かった。全然忘れてた出来事だった