31 月光・杏/罠に ページ31
腕組みを解き
Aの頬に手を添えながら正面に廻る
「君を抱きしめたい」
突然の事で理解出来ていないようだ
「君を抱きしめてもいいだろうか」
もう一度 言う
戸惑っているのが分かる
無理を言ってしまっただろうか
頬にある手を背中に廻し少し押した
その力に逆らわず胸の中に入ってくる
入ってきた身体をぐっと抱きしめると
己の身体に柔らかい胸の膨らみが伝わる
隊服の時には分からなかった事だ
この着物には厚みが無い
Aが動く
まずい
Aもまた 隊服ではない上に
薄い着物なのだ
動けないように 抱きしめた
Aの隊服を忘れて来た事に気付く
自分が持ってやると言ったまま…
まぁいい、明日朝、届けてやろう
「あ、隊服…」
Aも気付いた
「明日届けてやる」
「汚れた物を人の家には…」
離れようとする
「離さない」
グッ と抱きしめた
許せ A
月の仕掛けた罠に 掛かってしまったのだ
今は 君を離してやれない
このまま、もう少し
俺に抱きしめられていてくれ
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作者名:りた | 作成日時:2021年4月18日 3時