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27 月光・抱擁 ページ27

 



静まり返った夜の道を二人並んで歩く


腕組みをし前を見て歩く杏寿郎を
月光が照らした


着流しから見える厚い胸元が蒼く光る

目のやり場に困っていたさっきとは違い
今は見てしまう


私の方が変態だったみたいだ



杏寿郎に触れたい

妖艶な横顔を見ながら思う



この前みたいに抱きしめて欲しい




「俺をそんなに見てどうする」


立ち止まり 顔だけこっちに向け見おろす



「俺に何かして欲しい事があるのか」



一気に顔が熱くなる

心の中を見られたのだろうか


「……ない」

精一杯、平静を装った


しばらく見おろされる時間が続く



今日の夜は明るい

禰豆子の事を思い出す。禰豆子は鬼だ。
それは間違いない。だけど人を襲わない

それでも杏寿郎は禰豆子を斬首するのだろうか

…たぶん、襲わないという絶対的確信がなければ迷わず斬るだろう

やっぱり言えない
隠し事はしたくないけども言えない

そう決断し杏寿郎を見ていた



長い沈黙の後

組んでいた腕を(ほど)きこちらに伸ばす
頬が暖かい手に包まれた
そのままゆっくりと正面に回ってくる



「今 俺がしたい事を言ってもいいだろうか」


「ど、どうぞ?」


添えられた頬に身体の血液が集中する




「君を抱きしめたい」



!?



刹那、何を言われたのか理解できず

思考が停止する




緋色の瞳が月の光を取り込み妖しく揺れる

揺れる瞳に自分も揺れる




「君を抱きしめてもいいだろうか」




今度ははっきりと言葉が脳内に流れ込んだ

同時にドクっと心臓が跳ね、鼓動が激しくなる

頬に乗せられていた手が背中にまわり首の下辺りで止まった

押されたのか押されてないのか分からない程度の力を背中に感じ、流れるように身体を預けた


待っていたかのように腰と背中に腕が巻きつき抱きしめられる


はだけた胸元がダイレクトに顔に当った


石鹸の香りと肌の香り…
初めての匂いにまたドキっとする


少し身体をずらすと
さらにきつく抱きしめられた



周りの全ての音が消え

杏寿郎の鼓動だけが聞こえる




このまま離れないで



今日の私は少しおかしい
きっと杏寿郎も…



この月のせい蒼い月の妖しい光の…



 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:りた | 作成日時:2021年4月18日 3時

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