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457 F 妊娠 ページ13

太輔said





日に日に暖かさが増していく






桜の季節を過ぎて

梅雨の時期にさしかかったある夜だった






彼女が再び俺の前に訪れたのは






どしゃ降りの中

ようやく着いたアパートの階段を上ると







うちの前でしゃがみこんでいる女性を見つけた






「太輔…。」







足音に俺を見上げると

懐かしい声で俺の名前を呼ぶ






_____咲良







「…どうした。」








別れたのは夏






それから半年近くが経っていた






あのときから連絡さえしていない







咲「太輔…」








立ち上がると、胸元に飛び込んできた彼女






濡れた髪の毛から滴が落ちる







…。






一瞬、何が起きたのか分からなかったけど






「…咲良、どうした?

…何かあったの?」






彼女を離すと






咲「太輔…助けて。」







目に涙をいっぱいに溜めてそう言う






とりあえず

彼女を部屋に通してバスタオルを手渡した







貸した服に着替えた彼女をソファに座らせる






「…どうした?」





そう問いかけると






咲「太輔…

私…渉と別れた。」





え…





「なんで?」






咲「私…妊娠したの」






妊娠…





それが…どうして離婚に…







咲「…渉の子じゃない。」





え…




見た感じまだお腹は目立たない





でも…もしかしたらって、咲良を見ると







「妊娠3ヶ月だって。」






3ヶ月…






「大丈夫…太輔の子じゃないよ。」






だよな…だって咲良と別れてから

もう半年以上たつし







震える声で俺を気遣うみたく言う







「じゃあ…」







誰の…って聞こうとして

いつかの男の顔が浮かんだ








最後に咲良の部屋を訪れたあの日





鉢合わせた背の高い男






「相手は?」








咲「…逃げられちゃった。





話したら、俺の子だとは限らないって言われて…

そのまま。」







なんだそれ…






一度しか会ったことがないのに

怒りがこみ上げた







「渉には…自分で話したの?」






小さく頷く








咲「渉、先週から日本に帰ってきてて…」






昨年の夏に3人で会って以来







咲良の話によると、妊娠に気づいたのは先月







それを打ち明けたら

相手の男は音信不通になってしまった







一人で悩んでいた頃に渉が帰国して

話せないでいたところに

男の忘れ物が出てきた

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もも(プロフ) - 玲さん» いつもありがとうございます☆久々に舞い戻って参りました笑。分かりやすく嫌な奴です(^^;ちゃんと渉さんを大事にしろ!と言いたいところですが、ぐちゃぐちゃしてしまうのが物語(T-T)これからもお付き合いください(^.^) (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あ〜!!出てきましたねラスボス〜!!しかも物凄い爆弾を抱えて再登場、、さすがですラスボス。主ちゃんと藤ヶ谷先輩にとって、つらくて悲しいターンがやって来そうですね。。切ないけれど面白いので楽しみですっ (2019年9月18日 19時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もも | 作成日時:2019年9月14日 9時

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