195 F 本当に ページ42
藤ヶ谷said
北山を好きなだけなのに
なんで、いつもそんな悲しい顔ばっかり
Aちゃんは
悪いことなんてひとつもしてない
なのに…彼女が言うように
本当に好きでいることさえ許されないのか
許されないんじゃない
きっと……彼女自身がそれを許せないんだ
友達の…好きな人の幸せを脅かす自分の気持ちを
ただ北山を好きなだけなのに
苦しすぎるその姿が
少し前までの自分に被るけど
決定的に違うのは彼女はきっと俺なんかより
…ずっと優しいということ
生きていきずらい程に優しすぎるということ
自分がどうするべきかなんて
最初から分かってる
でも、どうにもならないほど北山を…
なんか…もう…
ホームに立ち尽くして動けない
Aちゃんの手をそっと握ると
少し驚いたようにビクッて震えた
夜中でもまだ蒸し暑いのに
指先は体温を失ってしまったみたく冷たい
北山の手をとれなかった
小さな小さな手が行き場をなくして
ただ俺の手の中に
はっきりと気がついたのは多分このときだった
俺は…この子が好きなんだって
ただ北山を好きなだけ
なのに…痛いほどに傷つく彼女を
俺は放っておくことなんてできない
それはいつか彼女が口にした
同志という気持ちなんだと思っていたけれど
多分、それだけじゃなくて
俺は…Aちゃんのことが…
「ねぇ…。」
声をかけると、隣の俺を見上げた
「あのさ…さっきのことなんだけど…」
…。
A「…さっき」
「さっきの…嘘…」
…本当にしない?
って、言おうとしたとき
〜♪
〈本日、最終の列車が参ります。
お待ちのお客様は
乗り遅れにご注意ください。〉
構内アナウンスが流れた
A「え…さっきの終電じゃなかったんだ…」
なだれ込んでくる電車に
繋いでいた手が離れ彼女の表情が和らいだ
よかった…帰れる
北山の隣に
そんな声が聞こえた気がして
頭に浮かんだ自分勝手な提案を
悟られないように喉の奥に飲み込んだ
A「えっと…さっきのって…」
そう聞かれて
「いや…なんでも。
よかったね。最終行ってなくて。」
そう返すとホッとしたように
ハイって小さく頷いた
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もも(プロフ) - maricaさん» コメントありがとうございます(*^^*)ぜひ7章にも遊びに来てくださいね(*^^*) (2019年7月9日 10時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
marica(プロフ) - 作者様の意地悪切なくて好きです!続きも楽しみにしてます。 (2019年7月9日 9時) (レス) id: e0ef7b26e4 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 玲さん» いつもありがとうございます☆藤ヶ谷先輩、ついに始動です(*´ω`*)切ないお話大好きです笑なんとなく先が見えているから楽しめるのでしょうね…リアルだったら心が折れます(T-T) (2019年7月6日 21時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - あーん藤ヶ谷先輩切ない(;∀;)好きです万歳!主ちゃんに藤ヶ谷先輩の想いが届くのはもう少し先になりそうですかね。そうなったらなったで再び咲良さんが現れそうな予感も。前作もですが、切なさを描くのが本当にお上手ですね^ ^ (2019年7月6日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - はるさん» いつもありがとうございます☆切ないお話が好きなので遠回りばかりしてしまうかもしれません(^^;気長にお付き合いください(^-^) (2019年7月4日 8時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2019年6月23日 21時