月とオレンジ 4

165 Ki 君と藤ヶ谷 ページ19

北山said



藤「でも、Aちゃんのこと心配だったし。

丁度よかったよ。」






Aが自分以外の男と同室ってこと





心配……






「ふーん。」







自分から聞いておきながらそっけない返し







藤「……本当、俺でよかった。」







俺でよかった？







その台詞に、昨晩あのあとふたりの間に

何かあったんじゃないかって







「……何もしてないよな？」







藤ヶ谷とAは付き合ってるわけじゃない







だから、なにかあるのは違うって







見守る優しさなんて納得したけど

やっぱりそこはさ







藤「何もって？」






「いや、だから……その」







何って……







藤「……何かしてたら？」






「は？」





思わず藤ヶ谷を睨み付けた







半端なことするなよって






何かするとしたら

ちゃんとAを好きなんだよな？って








藤「北山ってさ……本当に好きなんだな。

Aちゃんのこと。」







大真面目な俺とは裏腹にフッと笑った








「は？//何言ってんだよ！//


好きとか//」



ないない//って








藤「別に、幼馴染みとしてってことだよ(笑)」






からかうように言った






はぁ？//







完全に藤ヶ谷のペース

もってかれてるし








藤「でも、俺が何かするときは

マジなときだから。





半端な気持ちでとかないし。」






安心しろって







藤ヶ谷、かっこいいよな






迷いなんてない……そんな感じ





藤ヶ谷が相手なら納得





……ていうか、安心か







パタン







A「はい。昨日渡そうと思ったんだけど」







部屋から出てきたAが

充電器を差し出したから





「サンキュ」






って、受け取ろうとすると








コトン







指が触れた瞬間、充電器が床に落ちた







A「あ……ごめん//」








拾おうとすると

藤ヶ谷がスッと手を伸ばして拾う








藤「はい。」






……。






「ありがと。」







Aを見ると、やっぱり気まずそうに

藤ヶ谷の後ろに隠れるみたく







あんなことがあったんだから

そりゃそうなのかもしれないけど……







でも、なんか俺って完全アウェイ……みたいな








藤ヶ谷とAの関係







俺とAの距離







なんなんだよ……俺は

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