嘘つきな僕ら 26

1215 優しい嘘 ページ21

裕太君が立ち去っても

私はその場から

動くことができなかった








この１週間、ずっと考えてた





裕太君の嘘と





太輔の真実について








『別れよう。』






私の声に振り向いた彼の表情を見たとき








なんとなく、そう言われる気がした









でも、裕太君が別れを切り出したのは……





きっと私を想ってのことで







嘘つきは嫌いだから……

なんてこと自体が









彼の優しい嘘









そう思うのは、裕太君が

どんな私も変わらずに想っていてくれた

ことを、私自身がよく分かっているから








『好きだよ』







『誰でもいいなら俺にして』








『延長戦、もちこんでみたりして』







『クリスマスまででいいんだ』







どれだけ、彼の優しさに救われてきただろうか







そんな彼を好きになれて

私は間違いなく幸せだった








裕太君と居た時間は

最初から最後までずっと穏やかで優しかった








だから、なんとなく分かってたんだ








私が太輔を選んでも……





裕太君を選んでも……







きっと君は……別れを切り出すんだと







本当は最初から……どこかで分かってた







ありがとう……







君と出会えて…





…君を愛して






私は……幸せだった









ありがとう







……ありがとう









あの日も、今も

目の前に広がる湖面はとても穏やかで








空を写した水面がキラキラと輝く









その度にそこに落ちた

大きな大きな月が静かに揺れていた

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