嘘つきな僕ら 23

1059 流れ星 ページ10

太輔「あ、流れ星！」




真上を見上げた太輔が高く手を伸ばした







「え、どこ！？」


って見上げたときにはもう遅い








太輔「あー消えちゃったー。」




残念そうに言う太輔






なんか無邪気な子どもみたいで可愛い








「流れ星って、一瞬で消えちゃうから

お願い事なんてできないよね。」








子どもの頃、流れ星が消える前に

３回願いを唱えると

その願いが叶うと教えられた







あの頃は本気で信じていたけど

そんなことあるわけない







だって、あんな一瞬の間に

３回も唱えられるわけないんだから









太輔「……そう？





俺はいつもするよ。」







え？









太輔「胸の中にいつも願ってる。

だから今も絶対に届いたと思うけど。」








自信満々に言う太輔はまるで少年のよう







あれ……いつかも聞いたことがあるような台詞








あのとき、一瞬で彼を思い出したのに






私は思い出さない……

ことを決め込んだのかもしれない









「なんてお願いしたの？」









太輔「仕事をください。

ドラマをください。

CMをくださいって♪」








「すごいね(笑)」







切実な願い事に思わず吹き出してしまった








太輔「いや、なんでよ。

こっちは生活かかってるからね？」






って、冗談ぽく言う








生活という言葉の後ろに

葵さんの顔が浮かびそうになるけど

今は知らないふりをしたかった








だって、太輔とこんな風に笑い合うのは

本当に久しぶりだったから









太輔「あと……もうひとつ。」





……もうひとつ？





……。





……。









太輔「……忘れた。」







え？









太輔「忘れちゃった(笑)」







って、また笑った








「忘れちゃったって、３回も願うのに？」







そう言うと







太輔「３回？」







って、不思議そうに私を見る








「うん。３回。

流れ星には、３回お願いするんだよ？」









太輔「え！？そうなの！？

３回も！？

え、それ言える！？」








「え、知らなかったの！？」







これ、全国共通だと思ってた








太輔「知らなかった。





っていうか、１回でよくない！？

いや、１回でしょ！


だって、子どものとき１回って……お母さんが」







お母さんが……ね(笑)








そのフレーズがまたあまりに子どもっぽくて

思わずにやけてしまうと

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