1077 淡い期待 ページ28
太輔の隣に座れるのは
きっと今日が最後
こんな風に二人きりで会えるのも
太輔に伝えたい……もう伝えられない
さっきまで、そう思っていた気持ちが
確かにここにあるのに
第一声が……なかなか出てこない
太輔「花火……する?」
小さな線香花火
太輔「さっきみんなでやった残り。
全然やってなかったでしょ?」
ニッコリ笑うと私の目の前に差し出した
……。
海辺で線香花火……
このシチュエーション……
裕太君の顔が浮かぶ
太輔「ん?」
なかなか受け取らない私を
不思議そうに覗き込む
……。
「私……前にも同じこと、したことある。」
太輔「同じこと?
あ、花火?
そうだよね。俺も。
てか、たいていみんな
したことあるんじゃない?
線香花火。」
……そうじゃなくて
「……あの日……みんなで海に行った日。
太輔が……葵さんのところに帰っちゃった後
裕太君が一緒にって。」
あの日、私は葵さんのところへ向かう太輔に
何も言えなかった
あの日だけじゃない
太輔に伝えたい気持ちは
私が本当に言いたいことは
いつも胸の奥深くしまいこまれたままだった
もしもあの日……太輔を引き止めていたら
もしもあのとき……行かないでって言えたら
あのときの未来は
今ここにある未来は変わっていたのだろうか
……。
……。
「太輔……葵さんと……」
……結婚するの?
そう言いかけたとき
それに被せるように太輔が言葉を発した
太輔「……プロポーズしようと思う。
葵に。」
……。
……。
はっきり聞こえたはずの言葉が耳から耳へ
通りすぎていくような
すごく不思議な感じがした
……プロポーズ
良亮君の話しは本当だった
私、心のどこかで嘘なんじゃないかって
良亮君の思い過ごしとか……
そんな風に淡い期待をしてたんだって
気が付いた
淡い……期待
期待……って
「そっか……。結婚……するんだね。」
必死に絞り出した『結婚』というワードが
自分自身に突き刺さる
太輔「……そうだね。……多分。」
明確になっていく太輔の未来に
私はやっぱり居ないんだ
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もも(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます☆ベタですが、みんなハッピーエンドがいちばんいいですよね♪応援ありがとうございます☆ (2018年5月20日 19時) (レス) id: d5c8d33727 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 太輔と幸せになって欲しい一方で、優しすぎる玉ちゃんにも幸せになって欲しい(;_;)続きが気になって毎日開いてます。応援してます(^^) (2018年5月20日 18時) (レス) id: c8e91a285f (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます☆太輔とのハッピーエンド、見たいですよね☆太輔の優しい嘘が主人公ちゃんに届く日がきますように(*´ω`*) (2018年5月18日 10時) (レス) id: d5c8d33727 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 太輔以外のエンディングが想像つかなくなってきました!太輔とのハッピーエンドをぜひ見たいです(*^^*) (2018年5月18日 0時) (レス) id: 4f50f01176 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 奈津実さん» いつもありがとうございます☆そうですよね(^^;お話の中ぐらい、ベタですがハッピーエンドで……と思いますよね(^^;エンディングは頭の中ではなんとなくできているのですが、執筆がまだまだ追い付いていない感じです。みんな幸せに……なれますように(*´-`) (2018年5月17日 10時) (レス) id: d5c8d33727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年5月5日 9時