嘘つきな僕ら 23

1065 後悔するよ ページ16

私は太輔とのことを

良亮君に詳しく話したことはなかった






でも、なんとなく知っているのかもしれない









……太輔が？








良亮「ごめん。



俺……おせっかいだけど

このままでいいって思えない。





だって……」








「……だって？」









良亮「このまま、何も伝えなかったら

二人とも……絶対に後悔すると思うから。」








……二人とも？







太輔と仲のいい良亮君






やっぱり、太輔から何かを

聞いていたのかもしれない









そう思うと、一層胸の奥がざわついた








良亮君は、太輔からどんな風に

私の話を聞いていたんだろう








もしかしたら……良亮君の言う通り








太輔は……私を？









そんな突拍子もない考えさえ浮かんでくる程

私の頭はパニックになっていた








でも、そんな都合いい考えはすぐに打ち消した






だって、今まで太輔といて

そんな期待はいつだって打ち砕かれてきたから








太輔と出会って、彼を信じて……







思い出すと、辛いことばかり……






……だったらいいのに








辛い真実の影に

それがたとえ偽りだったとしても

私を気にかけてくれた優しい彼の姿が

いつだってかいまみえる







だから……






余計に分からなかった







手のひらの中のミルクティー







良亮君はきっと何も知らず

これを選んだんだと思う









でも、その温かさが混乱する私の気持ちを

正気に戻そうとする









「……今更、伝えたいことなんてないよ。」








熱い缶をギュッて握りしめる








……。






……。









良亮「やっぱり……

言葉にしなきゃ伝わらないこともあるよね。」









前を向いたまま、ボソッて発した言葉は

いつか彼が言った言葉








言葉にしなきゃ伝わらないこと……









あのときも







それが何を指しているのか

分からなかった









重たい空気が立ち込める車内








Prrr……








それを打ち破るみたく鳴り響いたコール音









良亮「もしもし……。は！？

もー。仕方ねーなー。」









店内の遥香ちゃんから、自分用の荷物を

運んで欲しいとのことだったらしい









「私も行くよ！」









良亮「いや、いいから。俺だけで大丈夫。」









そう言って立ち上がろうとする彼が

一瞬こちらを視線を向けた

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