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53 Ki あの日 ページ5

北山said






「居るな。」







A「うるさい!//」








うん。絶対居る







「何?どんな人?




地元の奴?こっち?





こっちっつったら

藤ヶ谷ぐらいしか居ないよな。」








A「だから

なんで藤ヶ谷先輩になんのよ!//





別にいーでしょ!//誰でも!//」






もーって、顔真っ赤だし(笑)








「ふーん。まーなんかあったら

ちゃんとお兄ちゃんに相談しなさいよ。





万が一、彼氏にするなら

俺に先に紹介しろよな。」







オバサンにAのこと頼むって言われてるし

こっちでは、俺がAの母親代わり







A「なんでよ!//紹介なんてしないし//」





親の心子知らず



昔から全然言うこときかねーの








「まーいーけど。

間違ってもチャラい奴には騙されるなよ。」






東京の男はこわいぞーって脅かすけど








A「チャラいって

みっくんのことじゃん!」







とかって、全然効き目なし








「チャラくねーし!案外硬派だっつーの。」







A「案外(笑)」







あー俺、こいつの兄貴なんだけどな







しばらく歩いてアパートの前の桜坂に

さしかかったとき









A「わ!」









一瞬、大きく風がふくとブワっと

桜の花びらが舞い上がって

まるで雪のようにハラハラと地面に落ちていく









舞い上がる桜の花びらを目で追う彼女に

あの日のことを思い出した








俺らがまだ中学生だった春








『お父さんが……死んだ』





Aの親父さんが死んだ







あのときも確かこんな春の嵐みたいな日で

雪のように舞い上がる薄紅色の花びらが

ヒラヒラと彼女の髪をかすめていた






あの日……








いつもは泣き虫なAが

俺の前でも涙を見せなかった







まだ12歳







中学に入学したばかりだったのに







きっと、幼いながらに考えたんだと思う








突然、父親を亡くして

母一人、子ひとりになった








自分が泣いたら、オバサンが……心配する







だから、泣かなかった


本当はきっと泣きたかったのに








俺は、そんなAを前にして

自分が情けなくて仕方なかった









ずっと一緒に育ってきたはずなのに

誰よりも傍に居たはずなのに









俺はAが本当に辛いときに

涙を流せる場所にもなってやれないんだって

54 Ki 特別な妹→←52 Ki 好きな人



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もも(プロフ) - ミィさん» コメントありがとうございます☆なんだかぐちゃぐちゃしていて、なんとか話をこぎつけつつ進めています(^^;お話はまだまだ続きますので、これからも気長にお付き合い頂けると嬉しいです(*^^*) (2019年5月13日 21時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
ミィ(プロフ) - 太輔くんと同じ境遇で仲良くなって来ましたけど、そんな単純にことは進まないですよね。萌ちゃんにもなんだか、胸がざわざわします。渉くんと太輔くんと咲良さんの関係も気になります!続きも楽しみにしています。 (2019年5月13日 21時) (レス) id: 1dbee522b3 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 玲さん» お久しぶりです(^^)こんにちは☆コメントありがとうございます☆前作では、藤ヶ谷君があまりいいキャラクターではなかったので、ちょっと立場が逆転ですね笑 これから距離を縮めていきます☆これからもお付き合いください(*^^*) (2019年5月10日 6時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 「嘘つきな僕ら」でもコメントさせて頂いてた者です。新作もまた素敵ですね。毎日読んでます。わたしは藤ヶ谷先輩派なので主ちゃんと藤ヶ谷先輩が親しくなっていくといいなぁ〜なんて期待しています(//▽//) (2019年5月9日 23時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もも | 作成日時:2019年5月9日 19時

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