月とオレンジ 2

85 お泊まり？ ページ37

私にも

恋ばなする友達はいる






でも、こんなに長い不毛な片想いに

付き合ってくれる人は、やっぱりいなかった







藤「そっか。



じゃあ、俺たちWINWINだね。」





そう言いながら歩いていく







アパートまで上がる最後の桜坂







藤「……桜」







五月間近







春先に満開だった桜も今は新緑







藤「すごかった？ここの桜。」









「はい。わりと有名みたいで//」







藤「そっか。見てみたかったなー。」







でも……









「先輩

桜はあんまり好きじゃないんじゃ……。」









藤「一人で見る桜はね。

今は、Aちゃんが居るから。」







こちらを振り向くとにっこり微笑む








なんだろ……







やっぱりモテるだけあって

女の子のツボ分かってるなーって







こんなのキュンキュンしっぱなしだよ//








藤ヶ谷先輩といると、さっきまでのことが

なんか嘘みたいに気持ちが穏やかになる








アパートの前まで着くと








藤「じゃあ、ここで。」







って、帰ろうとするから







「あの、どこへ……」






終電なくなっちゃったし








藤「んー、どっかで時間潰すよ。」







「でも……私のせいで

乗り過ごしちゃったわけだし」






……。








藤「じゃあ、今夜泊めてくれる？」








え……え！？//泊める！？






藤ヶ谷先輩を！？//






いや、でも……泊めるってことはつまり//








藤「何もしない保証はないけど。」








真剣な眼差しに、目を反らせない







何もしない保証って何//







やっぱりそういうこと！？//






男の子とキスしたこともないのに//







私……






でも……//








藤「嘘……」








「分かりました！//

うちに泊まってください！//」






藤ヶ谷先輩が何か言おうとしたのに被った






藤「あ、ごめんごめん//

嘘だよ//冗談//」







まさかいいなんて言うと思わなかったから……

って慌ててる








「え、そうなんですか//

すみません//私もなんか//」







どうしよ//


藤ヶ谷先輩にそんなこと言われて

ドキドキして、ついいいなんて//







藤「本当にごめんね//」







いえいえってお互いになっていると








「藤ヶ谷？」









坂道を上がってこちらに歩いてきたのは






＿＿＿みっくん





と美紀さん







そりゃ会うよね

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