嘘つきな僕ら 14

638 いつかの太輔 ページ33

翌朝には熱が下がった私は

お店に出勤することができた








ピンポーン







その夜、うちに来てくれたのは太輔








太輔「熱、大丈夫？これ……」







手渡された飲物をキッチンへ運んで

太輔の座るソファに腰かけた








太輔「ごめんな。

昨日、来てやれなくて。

てか、一昨日もマジでごめん。」







何度も謝る








「本当に大丈夫だから//

太輔だって忙しいのに。





来てくれてありがとう。」









太輔「……でも、玉は来てたし。」







ボソッと言う







太輔の前で、玉森さんとのことを思い出すと

なんだかドギマギしてしまう







太輔「葵のこと……

ちゃんと話しておきたいんだけど……

いいかな。」






しばらくすると太輔が切り出した







……ちゃんと……って、何を？






嫌な予感がする









太輔「葵に本当のこと確めた。

Aが話してた通りだったよ。」







……。







……。








太輔「葵、旦那さんとうまくいってなくて……

最初からうまくいくわけないんだけど。





今、なんかすごく不安定みたいでさ。」









太輔のためにした結婚だもん……

うまくいくわけない








太輔「実は昨日も……葵と居たの。」







……。








太輔「仕事が終わって

Aのとこ来ようと思ってたんだけど……

葵が帰りたくないって。」









「……そっか。」








なんて返したらいいのかな








太輔「……ごめん。葵のこと放っておけない。






結婚してるわけだから

何もできないのかもしれないけど

葵のこと見て見ぬふりできないや。」









葵さんのことを真剣に話す太輔は

いつかの遠い遠い人みたいだった








『太輔、告白しようとしてる』








……気持ち……葵さんに戻っちゃった？






……とは、聞けない







だって聞かなくても分かる






太輔が迷ってることなんて……









太輔「だから……

これからも少し

様子見てやらないといけないかもしれない。」








……それって

これからも仕事以外で葵さんに会うってこと？








太輔「……ごめんな。」







何に対するごめんなんだろ




不安にさせて？






葵さんに気持ちが戻っちゃったから？







私はなんて答えたらいいの？






なんて答えたら、太輔は私をみてくれる？

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