STORY53 レモンでもイチゴでもない ページ9
「…私も貴方の隣で、貴方のことを守りたい。」
震える声は隠せなかった。
多分、総悟君は私が泣いてることに気づいた。
ぎょっとしたように私の肩に手を置き、勢いよく身体を離した。
「っAさん！？」
そして、私の頬に右手を添え、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
慌てる総悟君に、ごめんと笑う。
「嬉しくて幸せなだけだよ。…安心した？」
「…もー心配させねーでくだせーよ。」
彼は安心したように笑った。
左頬の温もりに加え、右頬も包まれる。
私のおでこにコツ…と彼のおでこが当てられて。
その端正な顔が至近距離にきたのは初めてで、びっくりして身じろぐも、びくともしなかった。
どこを見ればいいのかわからなくて、目が泳ぐ。
「ふ、かわいー反応。」
「か、からかわないで…。」
「……ね、こっち見てくれねーの？」
顔に熱が集まるのを感じながら、総悟君の目を見た。
真っ直ぐな瞳に私の瞳が少し揺れる。
「本当、綺麗な色でさァ。…吸い込まれそう。」
「ありがとう、総悟君の目も綺麗だよ。」
「そんなこというの、Aさんだけでィ。」
何だか信じられないくらい本当に幸せで、私も仕返しだというように彼の顔を両手で包んだ。
彼は少し目を見開き、すぐに目を細めて優しく笑った。
「…なあ、キスしてもい？」
「え！ …き……。」
「…嫌？」
「嫌、じゃない。」
じゃあ遠慮なく、と近づいてくる総悟君に動揺して待って待ってと慌てるも敵わず。
熱いものに口を塞がれ、目を見開く私なんてお構いなしに総悟君は口付けをした。
初めて、だった。
レモンの味もイチゴの味もしなかったけど、幸せな味だった。
「目、閉じないの？ やらしいなあAさんは。」
いつの間にか目を開けた総悟君としっかり目が合う。
ぎらりと獣の目をして、にやりとこちらを見る彼の色気は18歳のソレじゃなかった。
そうだ、キスは目を閉じるものなんだっけ。
やらしいと言われ反論しようと口を開くも、させまいとまた口を塞がれる。
いつの間にか左頬の温もりは後頭部に移動しており、もう逃げ道はなかった。
もちろん逃げるつもりなんて毛頭ないけど、恥ずかしくて火が出そうだ。
「っはーAさんかわい…もっと…っ。」
「ん…。」
何度も口を重ねられ、その甘さにくらくらした。
胸の奥もざわざわして落ち着かない。
「っ本当やべーよAさん。」
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たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます！コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます！ (2021年3月20日 16時) (
レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます！番外編も楽しみにしています！ (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…！初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです！人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…！できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします！！ (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…！たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います！一気読みしてしまいました…！更新楽しみにしてます！あ、でもご無理はなさらず！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいる | 作成日時：2021年2月21日 23時
