STORY52 それでも隣に ページ8
あれから、どのくらい時間が経ったのか。
わからない。
総悟君が私に好きだと言ってから、ずっと抱き合っていた。
部屋に2人きりで、男女が抱き合っているにもかかわらず、この健全な空気に安心と愛おしさを覚えた。
(本当に、私のことを好いてくれているんだ。)
最初こそ恥ずかしかったが、今は落ち着きの方が大きい。
気持ちが通じ合って生まれた余裕だろうか。
「ね、総悟君。」
「…何です？」
「私のどんなところを好きになってくれたの？」
彼は突然咳き込んだ。
心配して思わず身体を離そうとしたけど、少し離れただけでそれ以上は離れなかった。
彼が腕の力を強めたからだった。
「…大丈夫？」
「Aさんが急にそんなこと聞くからでさァ。」
「…なんかごめんね。」
…私のせいなんだろうか。
「どうしても言わなきゃダメ？」
「うん、どうしても。」
「そんなに？」
「うん、そんなに。…嫌、かな。」
「……はあ。本当、Aさんはずるいですねィ。」
「ふふ、やった。」
年甲斐もなく、少し悲しそうなフリをしておねだりしてみると、それが存外きいたようで彼は観念した。
愛されているのだと実感してまた幸せになった。
小悪魔でさァ…なんて項垂れた彼は、後でAさんにも言ってもらいやすよ、なんて。
後が怖いとはこのことだ。
「…最初は、一目惚れだったんでさァ。アンタが姉上に似てるからだと思ったが、今思えばアンタだったから。…すごく、綺麗な人だと思った。」
「ひとめ、ぼれ。」
「もちろん見た目もだが、佇まいとか客に対して綺麗に笑うと思ってたら、存外子供っぽく笑うのを見て…いいなって思った。」
…すごく、嬉しい。
「一緒に過ごすうちに、Aさんと一緒の未来は楽しそうだなって想像しちまった。」
嬉しくて、涙が出そうだ。
こんなにきちんと教えてくれると思ってなかった。
「俺ァ真選組で、人を斬るしか能のないような男なのに、Aさんは俺を拒まないどころか優しく包んでくれたんだ。…アンタを誰よりも幸せにしてェ。」
涙は、もう出ていた。
静かに私の頬を伝って、総悟君の背中にしみをつくった。
「アンタの隣が俺じゃねー方がいいこたーわかってる。…それでも、隣にいて欲しい。Aさんはその辺のやつよりはつえーかもしれねーが、俺がずっと守る。」
「…っうん、ありがとう…私も、貴方の隣にいたい。」
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たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます！コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます！ (2021年3月20日 16時) (
レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます！番外編も楽しみにしています！ (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…！初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです！人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…！できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします！！ (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…！たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います！一気読みしてしまいました…！更新楽しみにしてます！あ、でもご無理はなさらず！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいる | 作成日時：2021年2月21日 23時
