番外編5_沖田と銀時の恋バナ ページ34
いつも通りAさんの団子屋で団子を頬張っていれば、ヤツはやってきた。
「くっつくの早かったなお前ら。」
そう言ってくつくつ笑いながら、俺の隣に座った。
Aさんにも聞こえるような声でわざとらしく告げた言葉に、彼女はわかりやすく狼狽えた。
それを見た旦那は満足気になり、視線を俺の顔へと移す。
「沖田クンのことだから、すーぐがっついてそ。」
にやにやと面白がってるのを隠しもしない旦那の表情に、いらっとして思わず顔を顰めると、やっぱりな。と旦那は笑みを深めた。
「まだ何も言ってやせんよ。旦那の方が手早そうですけどねィ？」
「俺ァ惚れた女は大事にするタイプなんですぅー。」
「どーだか。」
一瞬旦那が遠い目をしたのを見逃さなかった。
少し驚くも、言及はしねェ。
ほんの仕返しのつもりだったが、思わぬ収穫だった。
「銀さん、案内もしてないのに勝手に座らないでください。」
「あー？ いいだろ相席なんだし。な、総一郎クン？」
「旦那、総悟でさァ。…俺ァ別に構いやせんよ。」
いいわけねーだろと思いつつ、Aさんを困らせたくなくて仕方なく頷いた。
大体、さっきまで沖田クンって呼んでたのに急に総一郎クンだなんて、確実に煽られてる。
いや適当なだけか？
「もー…銀さんのお団子はゆっくり作ってもらうわ。」
「は！？」
「どうせ暇でしょう。」
「ごめんて！ いや暇だけども…ちょっとAサン！？ 俺お腹ぺこぺこ〜！」
少しむくれるも意地悪く笑うAさんに色気を感じるとともに、少し旦那に嫉妬した。
(けっ仲良さそうだねィ。)
はいはいと旦那をいなし、クスッと笑ったAさんは多分本気じゃないんだろう。
旦那の団子はすぐくるはずだ。
「まあまあそんなむくれないで。A奪おうなんて微塵も考えてねーからよ。」
そういう問題ではなかったが、悔しくて何も言わなかった。
「ま、そういう問題じゃねーか。悪かったな。」
「…別に。」
心を読んだかのような旦那に言葉が少し尖る。
何だか温かいものを見るような、いつもと違う旦那の目にまた居心地が悪くなった。
「素直じゃねーの。…ま、後悔しねーようにな。幸せそうで俺は安心よ。」
からりと笑った旦那に少し影が見えて、思わず言及した。
「…旦那にも、そういう女がいたんで？」
「＿＿＿昔の話だよ。」
遠かった瞳も、まるで何事もなかったかのようにいつもの調子に戻った。
相変わらず死んだ魚の目のようだ。
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たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます！コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます！ (2021年3月20日 16時) (
レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます！番外編も楽しみにしています！ (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…！初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです！人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…！できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします！！ (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…！たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います！一気読みしてしまいました…！更新楽しみにしてます！あ、でもご無理はなさらず！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいる | 作成日時：2021年2月21日 23時
