番外編4_親父さん(3) ページ30
___お初にお目にかかりやす、真選組一番隊隊長、沖田総悟でさァ。
Aさんとは、結婚を前提にお付き合いさせて頂いてやす。
本日はご挨拶に参りやした。
本当に別人並みに礼儀正しい総悟君が頼りになりすぎて、自分には勿体無い彼氏に感じる。
「ほー。お前がか。」
父はしばらく品定めをするように総悟君を眺めた後、面白そうに笑った。
「楽にしていいぞ。本当はそんなんじゃないだろう。」
「あり、バレちまいやしたか。」
「…え?」
どういうこと。
何を話しているのこの人たち。
「私を誰だと思っている。殺気が隠せておらん。」
「ふは、わざとでさァ。」
「さすがは一番隊隊長。こちらにも情報は回ってきているぞ問題児。」
「やーお褒めに預かり光栄でィ。」
あれ?
あれあれ?
雲行きが怪しい。
「アンタの身勝手な理由で9年も娘を無視し続けたんでさァ。俺だって身勝手な理由で心から仲良くなんてしやせん。」
「お前の身勝手な理由は何だ?」
「腹立つから。」
「ちょっと総悟君!?」
何を言い出すんだ彼は。
さっきまで安心して頼りにしてたのに。
私の親だから大切にしたいと大人の発言をしていた彼は何処に。
父上にこんな態度をとって、どうしようやばい怒られる。
というか結婚させてもらえなくなるんじゃ…。
どうにか挽回できないかと策を巡らせていると、父上は高らかに笑った。
はっと顔をあげる。
「面白い男を連れてきたなA。」
「え…。」
「お前は家族に甘いし、あんまり怒らない。悲しみや苦しみは1人で抱える傾向にあるだろう。…こんな愉快で正直で、真っ直ぐお前を想ってくれる男が側にいれば、安心だ。」
「あ…ありがとうございます。」
私はおずおずとお礼を言った。
父が私を見てくれることに慣れていないからか、びっくりしたからか。
わからないけどすごく居心地が悪い。
なのに内側から幸福が溢れる。
「何を偉そうに。アンタがどう思おうと幸せにしてやらァ。…Aさんはずっと俺の隣で笑ってりゃいいんでィ。」
「は、お前も言うなぁ。」
ああ。
なんだか泣きそうだ。
父は総悟君を気に入ったようだし、よく笑っているし、父の言葉も総悟君の言葉もあったかい。
もしかしなくても私…すごく愛されてる__?
幸せで幸せで、自然と笑みが溢れた。
「そうやって笑っていなさい。そうすればお前だけでなく周りみんな幸せになれる。」
優しく笑う父が発した言葉で、ハッと思い出した。
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たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます!コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます! (2021年3月20日 16時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます!番外編も楽しみにしています! (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…!初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです!人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…!できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします!! (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…!たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います!一気読みしてしまいました…!更新楽しみにしてます!あ、でもご無理はなさらず! (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年2月21日 23時