番外編1_18の少女と出会い(4) ページ21
結局返り血は諦め、お金だけ払ってさっさと帰ることにした。
「いらっしゃ…あら銀さんとさっきの子！ 大丈夫だっ…ちょっと、いっぱい血が出てるわ！ もう、銀さん何してたの！」
「あ、いえ。…ごめんなさい、私の血じゃないんです。」
本気で心配そうな様子に、騙しているようで申し訳なくなる。
周りの客の反応は様々で、大半は私の返り血を見てそそくさと帰った。
「あらそう？着替えはある？ 私のお下がりで良ければあげるわ。」
なのにおばあちゃんだけは優しくしてくれた。
「貰えば？ そんな服もう着れねーし、そのナリで歩いてたら通報されるぞ。」
そういえばこの人もだったな。
私の様子見てたのに、普通に接してくれた。
「ご迷惑でなければ頂いても？」
「もちろんよ！ ささ、こっちおいで。銀さんは店番ね。」
「はあ？ 何で俺が…。」
「ツケ、払えるのかい？」
「喜んでやらせて頂きます！」
…あの人、お金も払ってないのにあんなに横柄な態度してたの？
すごい人だな。
店番をあの人、もとい銀さんに任せ、私たちは店の奥へと進んだ。
なるほど、店の奥は普通に家になってるのか。
「貴方返り討ちにしちゃったのね？」
おばあちゃんが口を開いた。
いきなり根幹に触れられ、どう返事をしたらいいのかわからず黙り込む。
「にしてもやりすぎよ。もし仇討ちに来たらどうするの。」
見ず知らずの私を心配してくれた。
「店に被害がいかないように、外に追い出してくれたんでしょう？ 見た感じ刃物も持ってなさそうだし、相手のを奪ったのかしら？ すごいわねぇ。」
手酷く斬りつけたのは相手の戦意喪失のためかしら、なんて。
次々と自分の行動の解説をされ、目が丸くなった。
「あ、これよこれ。こっちとそっち、どっちの着物が似合うかしら！」
「貴方、一体…。」
「ふふ、私の兄も強かったのよ。ずっと鍛錬見てたからわかるわ。…戦に出たきり帰ってこなかったけれど。」
少し顔を曇らせた私とは裏腹に、彼女は昔の話よとカラカラと笑った。
その綺麗な笑顔がやたらと印象的だったのを覚えている。
…そういえば私、宿探してるんだから荷物の中に着替えあったな。
「貴方との縁、ここで終わらしてしまうのも何だか勿体無いわね…そうだ、貴方うちで働かない？ 住み込みで。」
そんな彼女の思いつきで、私はこの団子屋で優しい夫婦のお世話になっている。
…今思えば、私の荷物の多さから家が近くにないことを察していたんだと思う。
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たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます！コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます！ (2021年3月20日 16時) (
レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます！番外編も楽しみにしています！ (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…！初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです！人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…！できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします！！ (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…！たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います！一気読みしてしまいました…！更新楽しみにしてます！あ、でもご無理はなさらず！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいる | 作成日時：2021年2月21日 23時
