番外編1_18の少女と出会い(3) ページ20
「ちょっと銀さん何してんだい！ 早く助けに行ってやんな！」
いやそうは言うが、あいつは全く助けなんか求めちゃいなかった。
あの意志の強い水色の瞳。
儚げに見えたあの女は、何者だ。
ばばあに急かされ、仕方なく追ってみる。
まあ何かあっても後味悪ぃしな。
…案外近くに居た。
何軒か建物を超えた先の路地裏から、誰かの呻き声が聞こえて焦る。
っまさかもう……あ？
「ぐはっ…てめ…こんなことしてどうなるか…っ…。」
「どうなるんですか？…教えてください。」
「きさ、ま…。」
「貴方たち、本当に最低で低俗で、サル以下ですね。…次はありませんよ。」
女の目は笑っていなかった。
着物には血飛沫がついたようだが、怪我をした様子もない。
…返り血か？
あの女の手には、獲物があった。
…ありゃ天人のか？
咄嗟にそいつ奪って斬りかかるなんて、余程の強者…。
「はいこれ。返しますね。…さ、私は帰りますんで。」
手酷くやられた天人どもは、高速で頷きながら逃げて行った。
きもちわりー悲鳴を上げながら。
あんだけ動けるっつーことは、おそらく傷は浅い。
仲間を呼んで今度は数に物言わせて仇討ちにくる可能性もあるが、あの手の奴らはプライドが人一倍高ぇ。
人じゃねーけど。
女にやられたなんて他人にゃ言えねーだろ。
「おめー何してんの。」
「…見られちゃいましたか。」
血飛沫に似合わない、綺麗な笑顔だった。
少し照れた様子だったが、途中で気が付いたように大声を出した。
「っあ！」
「うっわ！ んだよ急に！」
「お団子のお金払ってません！ …あれ、もしかして貴方も？ 一緒に戻りましょうか。」
＿＿＿助けようしてくださり、ありがとうございます。
睨んでごめんなさいね。
そう言って目を細める彼女が、さっきと同一人物なんて思えない。
「おめー攘夷志士なのか？」
「攘夷志士…？ ふふ、まさか。私は…そうですね。そのつもりは全くないんですけど、どちらかと言うと幕府側の人間ですよ。」
「え…お前やべーんじゃねーの。」
「ばれなきゃ大丈夫ですよ。正義はこちらにあります。」
「…おっかねえ。」
あ！ 返り血どうしよう！
怖がられてしまうかしら。
なんて焦る彼女。
…もはやそんなのどーでもいいだろ。
てかそこじゃねーだろ。
そっから、歳も近い俺たちの腐れ縁が始まった。
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たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます！コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます！ (2021年3月20日 16時) (
レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます！番外編も楽しみにしています！ (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…！初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです！人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…！できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします！！ (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…！たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います！一気読みしてしまいました…！更新楽しみにしてます！あ、でもご無理はなさらず！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいる | 作成日時：2021年2月21日 23時
