番外編1_18の少女と出会い(2) ページ19
白髪の男性が、結構横柄な態度で注文し、だらだらと団子を待っている。
死んだ魚のような目をしているし、口も悪いし、まさか。
さっき帰ろうと思ったのを訂正する。
…危ない人だったらこの店が危険だし、少しだけ警戒しておこうと思った。
「はい、銀さんお待ち遠様。全く銀さんはいつもこれね。糖分取りすぎないようにね。」
「医者の言うことなんぞ聞いてられるかっての。俺はもう食べてーもん食べるって決めてんの。」
「そんなんだと早死にしますよ。」
「いーんだよ独り身だし。好きなもの食べて、好きなことしてーの。どうせ人間死ぬときゃ勝手に死ぬんだよ。」
…おばあちゃんの知り合いみたいだ。
名前も知ってるし、杞憂だったらしい。
近年稀に見るダメ男だ。
大丈夫そうなら今度こそもう行こう。
そう思って立ちあがろうとしたその時、奴らはきた。
「おいサルども。団子30本寄越せ。2分くらいで作れんだろ？ …もちろん、時間超えたらお代はいらねえよなぁ？ 客待たせてるんだからな。」
キヒヒヒ。
…狼っぽい見た目の天人。
下品な笑い方だ。
これが天人。
田舎にはいなかったし、江戸でも街を歩いている姿しか見たことがなかった。
特に差別もなかったが…。
言葉を発してすぐ、嫌いになった。
人間を見下し、無理難題を押し付け。
もちろん一括りにして嫌いとは言わないが。
「お？ 上玉の女がいんじゃねーか。」
「おいそこの。」
…ぐりぐりとした目玉が、こっちを向いていた。
私の、ことだろうか。
「お前も一緒に来い。」
ニタァと笑う笑顔が気持ち悪い。
周囲は我関せず、全くこっちを見ないし、見ようともしない。
…こんなものだろう、人なんて。
なのに、団子屋の夫婦だけはこっちを心配そうに見ていた。
大丈夫ですよ。
この店に被害なんか出しゃしません。
安心させるように、彼らに笑顔を向ける。
よく見たら、白髪の男性もこちらを見ていた。
「あら嬉しい。私のことそんなに買ってくださるなんて…。」
「素直な女だ。…気が変わった。団子の前にこいつを食うか。」
「キヒヒ、いいところ、行くか？」
「行きます〜！」
アホな人間を、演じられただろうか。
白髪の男性が動きを見せそうだったので、少し睨む。
驚いた様子で動きが止まった。
それを見て私は微笑んだ。
今は、動いちゃだめですよ。
店が汚れちゃう。
番外編1_18の少女と出会い(3)→←番外編1_18の少女と出会い(1)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「沖田総悟」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいる(プロフ) - れれんさん» ありがとうございます！コメントくださり嬉しいです。 ご期待に添えるよう励みます！ (2021年3月20日 16時) (
レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
れれん - 初めまして。完結おめでとうございます！番外編も楽しみにしています！ (2021年3月18日 19時) (レス) id: 495a38581f (このIDを非表示/違反報告)
たいる(プロフ) - みけさん» ありがとうございます…！初めてコメントを頂き、本当に嬉しいです！人物像にこだわって書いていたので、夢主さんの美しさをわかって頂いて本当に感無量です…！できる限り早めの更新を心がけますので、これからもよろしくお願いします！！ (2021年3月6日 1時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - とっても美しい人物像をお作りになりますね…！たいるさんのきめ細やかな心がなせる技だと思います！一気読みしてしまいました…！更新楽しみにしてます！あ、でもご無理はなさらず！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たいる | 作成日時：2021年2月21日 23時
