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STORY45 静観 ※続編いきます ページ49

「父上、黙って江戸に行ったこと、申し訳なく思っています。もちろん後悔はしていませんが…。」


昔ならとっくに声を荒げてもおかしくない状況にもかかわらず、父は黙ってこちらを見据えてた。


「でも、江戸で大切な人が増える度に貴方の顔がちらつきました。」


お世話になっている団子屋で家族のように接してもらっているときも、銀さんや土方さんとたわいもない話をしているときも。
…総悟君と楽しくお話しているときも。

ふとした瞬間に父が気がかりになる。


黙って逃げたくせに。
もう私に愛情を向けなくなった父親のことなんて、忘れてしまいたいくせに。
優しかった頃の父がそれを許さない。

先に変わったのは父だった。
多分、私が悪いわけじゃない。
でも私の頭を撫でた、あの不器用で温かい手のせいで、懐古の念に駆られる。


「私は貴方のことが大嫌いです。ある日突然貴方の世界から私の存在を消した貴方が憎くて憎くて、思い出しただけで悲しくて寂しくてむかむかして、仕方がない。」


それでも父は黙ってこちらを見ていた。
心なしか眉間に皺を寄せて、静かに見ていた。


「それでも心の底では貴方のことを信じていたことを思い出しました。いつか昔の貴方が帰ってくるんじゃないかって期待していました。」


視界がぼやけそうになるのを少し上を向き深呼吸をすることで必死に我慢する。

存在を消された当初の父は完全に無表情をしていたわけじゃなかった。
少し辛そうな顔をした父は、何かを決心したように少しずつ無に近づいたのだ。
だからしばらく話しかけるのをやめられず、期待し続けた。


「でももう戻らなくたっていいです。…本当は愛してくれてたの知っていました。誕生日に使用人全員からとして渡されていた豪華すぎるプレゼント。」


父の眉がピクリと動いた。

当時使用人にプレゼントのお礼を言ったら、何の話かわからないといった反応や微妙な顔をされることがあった。
本当はずっと違和感を覚えていた。


「参観日に寺子屋に派遣される使用人も、兄上や弟より多かった。…その代わり父上が行っていたけれど。」


父が来ない分も埋めるようにたくさんの使用人が来てくれた。
その分屋敷での仕事が滞るが、それを承知で命を下せるのは父以外いないのも今考えればわかる。


「…馬鹿馬鹿しい。根拠のない憶測だ。」


静観していた父がついに口を開いた。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 団子屋   
作品ジャンル:アニメ
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時

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