STORY19 先延ばしの問題 ページ21
気分転換がてら…と思って出かけていたら、見ちまった。
万事屋の旦那とAさんが、甘味処で仲良く話してるところ。
Aさんがたまに顔を赤らめたり、楽しそうに笑っていたり。
…見たことねー顔してた。
見すぎたのか、旦那と目があう。
こっちを見てにやりと笑った旦那。
__全てを察した。
「ッチ…。」
さっき自覚して諦めたばかりとはいえ、もう旦那のものだったなんて知りゃー舌打ちくらい出る。
旦那のあの全て分かった上みてーな笑みも腹が立つ。
勝ち誇った顔しやがって。
…何より腹が立つのは。
___旦那なら、仕方ねェって思っちまう俺だ。
旦那なら何かあってもちゃんと守ってくれるだろーし、ああ見えて大切にもしてくれるだろう。
普段はマダオだが。
「あっれぇ総一郎クン久しぶりぃ。…どうかしたの?」
考え事をしていたからか、簡単に背後を取られる。
しまった。
いつの間にか店から出てきてたらしい。
…勘に障るニヤついた顔だ。
「旦那、総悟でさァ。…別に、通りがかっただけでィ。」
「へえ。てっきりAが俺に取られたと思って、嫉妬で狂いそうになってるのかと思ったが。」
「っは、あの人はそんなんじゃありやせん。…俺にゃー手に入らねー女でさァ。」
そう、自嘲気味に笑った。
そんなに俺を笑い者にしたいのか旦那は。
俺たちゃドSコンビと呼ばれたりもするが、今回の旦那は鬼畜でィ。
Sは打たれ弱いんだ。
「ま、俺はAみてーに優しくねーから、てめーのこたーどうでもいいんだが…。Aのために、2つだけ伝えてやる。」
「はい?」
「1つ、まず俺とAは別に恋仲じゃねーし、そうなる予定もねーよ。」
「な…。」
「2つ、おめーさんもっとアイツのこと知った方がいいんじゃね? アイツ、あんま弱かねーぞ。…いろいろと。」
「え、ちょっと待っ…。」
「じゃあな、総一郎クン。」
「ッオイ、旦那!?」
旦那の見透かした言葉に目を見開く。
…旦那が何を知ってるって言うんでィ。
もっと知れって…何を。
いろいろ。
旦那の言葉に含みを感じたのは気のせいか。
「相手は旦那じゃ、なかったのかィ。」
今はただそれだけで安堵する。
旦那はなんだかんだで甘ェ男だな。
何が優しくねーから2つだけ、だ。
…十分だ。
だが問題が先延ばしになっただけなのも、わかってらァ。
今回は違ったが、いつかきっと彼女は他の男の___。
…やめだ。
俺のもんにはならねーんだ。
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時