愛のモノローグ (ページ43)

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あいつはやっぱり。ページ43

藤ヶ谷side

______カランコロン

「らっしゃいませ～。おっ、藤ヶ谷じゃん。」

藤「北山、いい加減“い”の発音をしろ。“い”の発音を。」

北山の前のカウンター席に流れ込むように座る。

“ま～お堅いこといわないの”の言いながら、メニューを隣におく。

こいつは、高校からの同級生で

何もかも反対の俺たちだけど、

何かあれば“藤ヶ谷～”って、

教科書貸せだの、

からあげちょうだいだの、

他に仲のいいやつたくさんいるのに、

ちょろちょろ着いてくんのが

可愛くて、世話してた。

正反対だからこそのおもしろみも、

いらだちも、ここちよさも、刺激も…

正反対だからこそ、北山だからこそ、

色んなことを高め合えた。

藤「とりあえず、びーる。」

北「“とりあえず”って何だよ。」

“居酒屋じゃねーんだから、”

いいじゃん。びーる。

BARなんだし。

好きじゃん、お前も。

“はいよ。”

お前が、居酒屋っぽくしてんじゃん。

抱え込んでいた頭をあげ、

薄暗い中に目を向ければ、

それはそれはお洒落で

落ち着いた、大人な雰囲気。

でも店長がこれだから、

好き嫌いが激しく、

酷いことをするやつはとことん酷い。

それでも、笑顔でいられる北山に

店を続けてこれる北山には

流石俺のライバルと思ってる。

ま、言わないけど。