FK短編集

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Ki side


「ひろみつ、ただいまぁ」


俺に抱えられたままふにゃふにゃと笑う太輔。


「ん、おかえり。お水飲もうか」


なんでしめかけ？今日どっか行くなんて一言も…
いろいろ聞きたいことはあるが、べろべろの太輔に聞いたってしょうがない。


太輔を抱えるようにして歩いてソファに座らせる


お水を渡すとごくごくと飲んでいて、なんか子どもみたい。


しばらくするとちょっと酔いも覚めたみたいで


「ごめん、久しぶりに外で誰かと飲んだから、お酒止めるタイミングがわからなかった。それにしても、宏光の方が早く帰るなんて珍しいね」


と言うから、そうだねと返したあと、質問する。


「今日俺太輔が誰かと飲みに行くって聞いてなかったんだけど。」


あ、自分でも思ったより低い声で聞いてしまった。


「だって。今日飯行くって連絡きて、帰ってきても宏光いないって分かってるのに、俺1人で家にいるの嫌だったから…」


さみしかったから、しめちゃんに…と話す太輔。


「でも連絡しなかったのは…ごめん」


ちゃんと謝れるのは、太輔のいいところ。



そして、不安そうに俺を見つめながらぎゅっと腕の袖を掴んでくる彼は、ごく稀な甘えモード。


「ううん。俺こそ、寂しい思いさせてごめんな？さみしくなったら、遠慮せず言ってよ。俺の中の1番は太輔なんだから。」


そういうとふふっと笑って首に手が回ってくる。
いつもはかっこいい太輔だけど、こうやって俺だけに甘えてくれるのも、悪くない。

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