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大光サイド
隣を見ると､あの子は人魚の姿で寝ていた｡
まずはお礼を言わないと｡
大光「大輝､君の歌､聴いたよ｡美しい声で､癒されたよ｡ちゃんと､俺に届いたよ…」
眠っているのか､大輝は返事しない｡
大光「助けてくれて､サンキュー…な…?」
そっと触れると､あの子の体が冷たいことに気づいた｡
大光「大輝!?おい､大輝!」
大輝の体を揺さぶるけど､あの子は動かない｡
何で…どうして…｡
大光「うん?」
大輝の近くに､見覚えのある物があった｡
大光「これ…」
(第14話の14-8)
大輝「この白真珠は､オンディーヌ一族の力の源｡怪我や傷を治す事だって､出来るんだ」
真珠貝のブローチ…その中身の白真珠に､完全にヒビが入ってる!?
白真珠は力の源…命の源でもあるって事なのか…?
大光「そんな…大輝!起きろよ!目を覚ましてくれよ(T_T)!」
ポロポロと涙が出てきて､「大輝!大輝!」と愛するお姫様の名前を呼ぶ｡
けど…いくら呼んでも､あの子は目を覚まさない｡
大光「大輝がいないと､俺は生きていけないよ…(T_T)」
もう､大輝はここにいない｡大輝のいない世界なんて､嫌だ…(T_T)｡
真珠貝のブローチをズボンのポケットにしまい､
冷たくなった人魚の姿の大輝をお姫様抱っこすると､ある場所に向かった…｡
大光「着いた､ここだ…」
俺が近道に使っていた森に久々に入り､
その森の中にある湖…大輝の住み処だった場所｡
そして､大輝の歌声(実はカイゼリン・セイレーン(嶺亜)だった)が聞こえてきた…｡
大光「大輝､俺も逝くから｡ずっと一緒だ…」
目を覚まさないお姫様に声を掛け､ゆっくりと歩いていき､
俺は大輝と一緒に､湖に入って沈んでいった…｡
第35話『届け､愛の歌』 終わり
『狂犬と歌姫の条件 Part8』に続く…｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年12月5日 20時
