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大輝サイド
大輝「つまり､大光は俺を裏切った｡だから､俺はお前を殺さないといけない｡オンディーヌ一族の証である､この短剣で」
右手にしている短剣を見つめ､両手で持ち変える｡
大光と恋人になったのは､9月に前期の期末試験が終わった後の事だった｡
アイツに自分が人魚だと告白し､最初は住み処(この時は､仮だったけど)に帰ろうと､
人間の世界から去ろうとした｡
けど､大光は後ろから俺を抱きしめて…｡
(第11話の11-9)
大光『俺､大輝に出会った時から好きだった｡一目惚れだったんだ｡だけど､なかなか告白できなくて…』
大光『大輝が何者であろうと､構わねぇ｡俺は大輝を愛してるんだ｡心から…//』
大光『冗談じゃねぇよ｡俺の気持ちに嘘はない｡大輝だって､俺の事…』
そう言ってくれた時は､嬉しかった…｡
なのに､なのに…全部､嘘だったのかよ…!
大輝「これは､オンディーヌ一族の掟だ｡俺が殺す形で､大光は死ぬんだ｡俺も罰として､死ぬ｡掟に逆らうわけにはいかない…」
ゆっくりと目を閉じると､堪えていた一粒の涙が頬につたっていく｡
そして､両手で短剣をぎゅっと握って振り上げた｡
大輝「バイバイ…大光…俺も…すぐ逝くから…」
そう言って､大光の心臓に向かって振り下げようとした｡
…と思ったのに｡
大輝「…出来ない」
短剣を握りしめている両手が､ガクガクと震えている｡
何故…何で､殺せない…?
今でも大光を信じているから?大光を愛しているから?
短剣をゆっくりと下ろすと､眠っている彼氏の顔を近づける｡
大輝「俺は大光を殺せない｡愛するお前を失いたくないよ…」
せめて､キスだけでもと､大光の唇と重ねようとした時だった｡
大輝「(首筋に人魚の刻印!?それも､セイレーン一族の!?)」
すぐに大光…いや､偽大光から離れて､短剣を向ける｡
コイツは大光じゃない!!
嶺亜「大輝!!」
猪狩「大輝様!!」
大輝「嶺亜!蒼弥!」
後ろから声がして振り返ると､エレキギターを手にした嶺亜と､
レイピアを持ったニクス一族の人魚で樹さんの弟である蒼弥がいた｡
猪狩「大輝様!その彼氏は､偽者だ!」
大輝「偽者…やっぱりか!」
すると､偽大光が目を覚まして起き上がると､俺らを見てニヤリとした｡
偽大光「やっぱ､アイツの彼女はお見通しだったか」
大輝「お前…何者!?」
偽大光はニヤリとして､回転すると背の高い金髪の少年の姿に変わった…｡
第32話『愛か?死か?苦悩の選択』 終わり
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年12月5日 20時
