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その頃､大輝は…｡
大輝サイド
暗闇の中を照らしてくれる街灯｡
中には今にも切れそうなチカチカ光るのもあるけど､消えそうにもない｡
そんな街灯の光を頼りに､暗闇の道を進む俺｡
取り返したオンディーヌ一族の住み処の湖がある森｡
未だに規制線があるから当然､通ることができない｡
湖から流れる川の石橋を渡って､24時間営業のコインランドリー､
同じく24時間営業のコンビニを素通りしていく｡
やがて､分岐点に辿り着いて､俺は迷わず左を進み､
狭い路地裏の道を歩いていく｡
大輝「(大光…)」
お泊まりや勉強会の時に数回､来た古民家のような一軒家｡
俺の彼氏､大光の家｡
大輝「(この格好で良かったかな｡もし､すれ違った人達から見たら､不審者と思われるよね…)」
黒いフード付きのパーカーに､黒いズボンの格好｡
顔はフードを被っているから見えないはず｡
大光の家に辿り着き､誰もいない事を確認してから侵入する事にした｡
大輝「(あれ?開いてる…?)」
玄関の扉が少し開いていた｡
アイツ､鍵を掛けるの忘れたのか…?けど､ちょうどいい｡
扉を音をたてないように開け､侵入する事に成功する｡
恐らく､アイツは自分の部屋で寝ている事だろう｡
音をたてないように､階段をゆっくりと上っていく｡
大光「…Zzz」
少しずつ段差を上っていくと､大光のいびき声が聞こえてくる｡
相変わらず､だらしなく寝てるんだろうな｡
階段を上りきると､大光の部屋に向かう｡
大輝「(また､開いてる…?)」
玄関の時も開いていたけど…とにかく､大光の部屋に侵入する事に｡
大光「Zzz…」
大輝「(いびきはかいてる癖に､ちゃんと布団掛けてんじゃん…(ーー;))」
部屋に入って､すぐ目にした光景に首を傾げながらも､
俺はベッドで眠っている大光にゆっくりと近づいていった｡
そして､隠し持っていた短剣を取り出して､アイツに話し掛ける｡
大輝「大光…お前は俺を捨てて､織山と一緒になろうとしているんだよな｡俺よりもアイツが…」
出てきそうな涙をグッとこらえ､話し続ける｡
大輝「お前には言わなかったけど､オンディーヌ一族の人魚は人間と恋人同士になった場合は3ヶ月間､キープしないといけない｡それは､人間が恋人同士になった人魚以外の者と恋愛してはいけない｡裏切ったら､その人間は恋人である人魚を殺さなければいけないんだ…」
大光「Zzz…」
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年12月5日 20時
