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手越サイド
早見「容疑者になったあなたに､息子を2度と会わせてあげない｡そう書いてあったわ…」
手越「早見さん…」
早見「その後､息子が親戚の家を飛び出したと手紙が届いた｡親戚の家にいるのは懲り懲りだって｡あの後､都内の街の児童養護施設に入ったと書いてあった｡確か､ローレライが倒産してから2ヶ月ぐらいね」
って事は…2年前の10月辺りか｡
その後､養護施設に入った息子さんは､母さんも通っていた聖レジーナ学院に編入｡
しかし､今年の10月に街の学校に転校したと､
児童養護施設の職員から手紙があったという｡
早見「息子の近況は､施設の職員から手紙で聞いていたの｡あと､面会に来てくれたわ｡『息子さんは元気でやっています』って｡だから正直､安心したのよ｡私は息子が元気でいてくれれば､それでいいわ」
手越「…」
早見「そうそう｡私､あなたのお父さんの事が好きだった事を話したわよね｡けど､彼はオンディーヌ一族だった｡敵同士の一族の恋愛は禁じられている｡だから､彼は拒否したのね…」
手越「それで､あなたの主人は…」
早見「人間よ｡セイレーン一族も人間との恋愛は禁止だけど､反対を押しきって結婚したの｡そして､息子が生まれた｡けど､主人は病気で亡くなった…」
壁掛けの時計がカチコチと鳴る中､面会が終わる時間が近づいていく｡
手越「つまり､息子さんはセイレーン一族の人魚と人間のハーフ…」
早見「えぇ…息子には幸せになってほしいの｡私のように､悪い事をしなければいいけれど…」
手越「…」
早見「…
早見さんは何か呟いていたけど､俺には聴こえなかった｡
すると､ガチャと扉が開いて「面会時間は終了です」と女性刑務官の人が入ってきた｡
手越「じゃあ､行くね｡また来るから｡次は小太郎と一緒に」
プラスチック越しの早見さんに優しく声を掛けた｡でも…｡
早見「…もう､来ないで」
そう冷たく言うと､早見さんは背を向けて出ていってしまった｡
大輝サイド
手越「…という訳なんだ」
大輝「セイレーン一族の人魚と人間のハーフ…」
街の学校に転校してきた…って事は､他のクラスに転校してきた織山?
だけど､人魚の刻印があるか分からないので､証拠がない｡
大輝「もう少し､日記帳を読んでみますか」
嶺亜の日記帳をパラパラと捲ると､「あっ!」と止めた｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年9月11日 21時
