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大輝サイド
泉「失礼しますm(_ _)m｡面会終了のお時間です」
大輝「あっ､はい…」
俺はハーフコートを羽織り､通学鞄を肩に掛けて病室を出た｡
面会終了の時間を知らせてくれた看護師の女性が､嶺亜の担当になったらしい｡
退院するまで､この人がお世話するそうだ｡
大輝「嶺亜の事をよろしくお願いしますm(_ _)m」
泉「はい､お任せ下さい(^-^)」
俺は「失礼します」と挨拶して､長い廊下を歩き､エレベーターに乗った｡
1階に着いて､入り口まで向かっていた時､
男性看護師2人の会話が聞こえてきた｡
看護師1「にしても､良かったな〜｡全員､命に別状無くて」
看護師2「あぁ｡昨夜､全員目を覚ましたけど､被害に合っていた事は覚えてなかったみたいだ」
そりゃそうだよ｡
嶺亜以外､クリスタルの中に閉じ込められていたんだ｡
看護師1「今日から毎日､患者さんのケアに励む事になるな｡1日も早く､退院してほしいよ」
看護師2「そうだな｡だけど…」
大輝「(うん…?)」
看護師1「どうした?」
看護師2「個室の530号室に入院した患者さん､記憶が無いって｡患者さんを診た先生が…」
えっ…(;ﾟдﾟ)｡
看護師1「はっ!?どういう事だよ」
看護師2「いや､ワンピースに学生証が入っていたから､名前とか分かったんだけど｡その患者さん､港町の学校に通っている高校生らしい｡ところが､自分の学生証を見ても思い出せないそうなんだ」
看護師1「そんな…」
看護師2「今日､港町の学校に連絡して､当時の担任の先生に確認してもらうらしい｡まさか彼､記憶喪失になったんじゃないかな…?」
看護師1「だとしたら､大変じゃないか」
看護師2「あぁ｡泉さんが担当することになったけど､俺らも助け船を出してあげよっか」
男性看護師2人は会話を終えると､廊下を歩いて去っていった｡
大輝「(嶺亜が記憶喪失だって?いや､あり得ない…)」
じゃあ､俺のことも知らないって事になるのか…?
自分が人魚であることも､大我様の弟である事も､
今までの思い出も…｡
だけど､まだ分からないんだ｡
記憶喪失じゃない事を祈ろう｡
ただ､記憶が戻っても俺は嶺亜を許せないだろう｡
他の人魚の歌声を利用したんだ｡
だけど､どうやってやったんだ?
いや､セイレーン一族の誰かが俺の歌声を録音したとか…?
大輝「やっぱり､ごめん｡嶺亜､お前は悪くないんだ…(´・_・`)」
そう呟き､病院を後にした｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年8月15日 22時
