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22-3 ページ15

大輝サイド

大輝「嶺亜…」

目にしたのは、ベッドで眠っている嶺亜の姿だった。

茶髪で色白の肌、綺麗な睫毛をしていて、まるで白雪姫のようだ。

学校用のハーフコートを脱いで、通学鞄を置くと、

ベッドの近くにある丸椅子に腰かける。

命に別状はなくて良かったものの、起きないんじゃないかと心配になってしまう。

大輝「嶺亜。俺も、とうとう人間の世界に来たよ。そこで、友達もできた」

眠っている嶺亜に向かって、人間の世界での生活を話し始めた。

大輝「お前や大我様の言う通り、人間の世界も悪くない。人間は恐ろしいと仲間達は言うけれど、そんな事なかった。アイツら、誤解してるよな」

病室に入ってから1分が経つも、嶺亜は目を覚まさない。

壁掛けの時計だけがカチコチと鳴っており、時間だけが過ぎていく。

面会時間は5分とお医者さんに言われたので、あと4分しかない。

その間に、目を覚ましてほしい。そう願った。

大輝「それと俺、恋人ができたよ。相手は、お前と同じ人間なんだ」

話題や近況等を話した後、ネタ切れになってきたので、

とうとう大光の事を話し始める。

大輝「転校した先の学校で会って、やんちゃで破天荒で煩い奴だけど、真面目で俺を心から愛してくれる、優しい彼氏なんだよ…//」

嶺亜「…」

大輝「アイツ、ダンスがめっちゃ上手くてさ。小学生の頃に、ダンスを習っていたんだって。カッコよすぎて、見とれてしまう程なんだ。あと、料理も得意でさ。今日、アイツの家に泊まりに行くんだけど、俺の大好物のハンバーグを作ってくれるんだって。俺も作ってみたいから、手伝おうかなって思ってる」

面会の時間終了まで、あと1分。

俺は、あの話をする事にした。

大輝「そういえば、湖から聞いた歌声の事だけど。この前、小学生の男の子がうっかり森に入ってしまって追い掛けていると、歌声が聞こえたんだ。でも…」

あの時、聞いたのはカイゼリン・セイレーンと化した嶺亜の歌声ではない。

大輝「あの歌声は…俺だ」

嶺亜「…」

大輝「何で俺の歌声を利用したんだよ…自分の歌声じゃ、満足できなかったのか?」

自分ではなく、俺を利用するなんて怒りを抱いたけど、

コイツはセイレーン化して、操られていたんだ。

嶺亜は悪くない。分かっているけど…。

大輝「お前がそんな人魚だとは思わなかった。最低」

こんな事を言い放ってしまった。

でも半分、許せないのは本当なんだ。

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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年8月15日 22時

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