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20-5 ページ44

大輝サイド

大輝「嶺亜。これは何?(・・?)」

嶺亜「どれどれ…あー、これは時計だよ」

大輝「時計?」

嶺亜「うん、兄さんが教えてくれた。この時計は確か、懐中時計だったかな」

大輝「懐中…時計…」

嶺亜「今時、懐中時計なんてあるんだな〜。修理できる人魚は…いないな(^_^;)」

大輝「そう…」

その後、嶺亜が沈没船をくまなく探索して、

他に流れ着いた物は見つからなかったので、出ることにした。

そういえば俺達の住処へ戻る途中、嶺亜が急に俺だけに話した事がある。

それは、嶺亜がこんな事を聞いてきたのがキッカケだった。

嶺亜「大輝ってさ、好きな奴いんの?」

大輝「えっ…?」

好きな人魚って事?急に何を聞いてきたんだ…?

大輝「いや…いない」

歌と音楽が生き甲斐の俺にとって、恋愛なんて興味なかった。

嶺亜のお兄様で同じ一族の人魚の大我様は、ニクス一族の人魚である樹さんとは相思相愛の仲で、

2つの一族の人魚達も公認のカップルで人気だと聞いている。

あと、同じオンディーヌ一族の瑞稀も最近、

ニクス一族の涼とカップルになったと耳に入っていた。

女王ファンテーヌは人魚同士の恋愛は構わないと言っているけど、

人間との恋愛はやめた方が良いと忠告している。

俺も女王ファンテーヌの忠告を当時は守っていて、

人間の事に興味が無かったのもそういう理由からだった。

大輝「何で、そんな事聞いたの?」

嶺亜「お前だけに話そうと思って。誰にも言わないって、約束できる?」

嶺亜が止まって、俺の方を見て聞いた。

珍しく真顔だな。俺は「言わない」と頷いた。

嶺亜「ありがと。実は俺、好きな人間ができた…」

大輝「へぇ〜…って!人間!?お前、マジかよΣ( ゚Д゚)!?」

人間の物を集めるなんて妙だとは思っていたけど、

嶺亜が人魚じゃなくて、人間に恋したなんて…。

大輝「相手は誰なんだ?」

嶺亜「もう、7年前ぐらいなんだけどさ。俺、兄さんを連れて、夜空の星を見に海に行ったのよ」

大輝「あー…はいはい」

嶺亜「それで、夜空の星を見ていたら大きな船を発見したんだ。その船の上で、癒される程の美声で歌っていた人間を見つけた。俺は一目で、そのお方を愛してしまったんだ…//」

顔を少し赤くして、モジモジする嶺亜。

こんな嶺亜、見たこと無かった…。

最初は冗談なのかと思ったけれど、アイツの想いは本物だったんだな。

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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年3月19日 13時

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