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大輝サイド
大輝「嶺亜。これは何?(・・?)」
嶺亜「どれどれ…あー、これは時計だよ」
大輝「時計?」
嶺亜「うん、兄さんが教えてくれた。この時計は確か、懐中時計だったかな」
大輝「懐中…時計…」
嶺亜「今時、懐中時計なんてあるんだな〜。修理できる人魚は…いないな(^_^;)」
大輝「そう…」
その後、嶺亜が沈没船をくまなく探索して、
他に流れ着いた物は見つからなかったので、出ることにした。
そういえば俺達の住処へ戻る途中、嶺亜が急に俺だけに話した事がある。
それは、嶺亜がこんな事を聞いてきたのがキッカケだった。
嶺亜「大輝ってさ、好きな奴いんの?」
大輝「えっ…?」
好きな人魚って事?急に何を聞いてきたんだ…?
大輝「いや…いない」
歌と音楽が生き甲斐の俺にとって、恋愛なんて興味なかった。
嶺亜のお兄様で同じ一族の人魚の大我様は、ニクス一族の人魚である樹さんとは相思相愛の仲で、
2つの一族の人魚達も公認のカップルで人気だと聞いている。
あと、同じオンディーヌ一族の瑞稀も最近、
ニクス一族の涼とカップルになったと耳に入っていた。
女王ファンテーヌは人魚同士の恋愛は構わないと言っているけど、
人間との恋愛はやめた方が良いと忠告している。
俺も女王ファンテーヌの忠告を当時は守っていて、
人間の事に興味が無かったのもそういう理由からだった。
大輝「何で、そんな事聞いたの?」
嶺亜「お前だけに話そうと思って。誰にも言わないって、約束できる?」
嶺亜が止まって、俺の方を見て聞いた。
珍しく真顔だな。俺は「言わない」と頷いた。
嶺亜「ありがと。実は俺、好きな人間ができた…」
大輝「へぇ〜…って!人間!?お前、マジかよΣ( ゚Д゚)!?」
人間の物を集めるなんて妙だとは思っていたけど、
嶺亜が人魚じゃなくて、人間に恋したなんて…。
大輝「相手は誰なんだ?」
嶺亜「もう、7年前ぐらいなんだけどさ。俺、兄さんを連れて、夜空の星を見に海に行ったのよ」
大輝「あー…はいはい」
嶺亜「それで、夜空の星を見ていたら大きな船を発見したんだ。その船の上で、癒される程の美声で歌っていた人間を見つけた。俺は一目で、そのお方を愛してしまったんだ…//」
顔を少し赤くして、モジモジする嶺亜。
こんな嶺亜、見たこと無かった…。
最初は冗談なのかと思ったけれど、アイツの想いは本物だったんだな。
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年3月19日 13時