狂犬と歌姫の条件 Part4 (ページ41)

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大輝サイド

大輝「(塾長が話していた彼(・)って､まさかアイツ…?)」

勉強机でノートとにらみ合いながら､さっきの会話が気になってしまっていた｡

塾長の家に居候していただって?そんな話､聞いたこともない｡

大輝「(お前だったのか…?)」

俺は森の湖の底に住んでいた頃を思い出す｡

これは俺がまだ､海に落ちた大光を助ける前の話｡

大光が住んでいる街にある森の湖の底に､

俺達オンディーヌ一族の人魚の住処があった｡

オンディーヌ一族は音楽と歌が大好きで､俺もその1人｡

その為､毎年､音楽系のイベントが開催されており､

この時､俺はそのイベントに出場する為､

毎日､自分の部屋で練習していたけど…｡

大輝「～～～♪…あーっ､駄目だ(＞_＜)!」

上手くいかず､ベッドでうつ伏せになって枕に突っ伏した｡

それもそうだ｡

毎回､音楽系のイベントに出場していたけど､

これまで優勝した事は1度も無い(-_-;)｡

こりゃ､今回のイベントの優勝も無理かな…｡

枕に突っ伏しながら､

サーモンピンクの尾びれをピチピチと動かしていると…｡

嶺亜「ヤッホー､大輝(^-^)!」

大輝「嶺亜…」

カーテンを開けて入ってきたのは､

太陽のような金髪を1つに結び､

女子のような顔立ちをした人魚｡

上裸でローズピンクの尾びれをしている｡

俺の幼馴染み､嶺亜だ｡

嶺亜「調子はどぉ(^^)?」

大輝「全然だよ…(-_-;)」

俺を気に掛けて､様子を見に来たのだろう｡

だけど､俺は顔もあげないで返事をした｡

嶺亜「どーしたんだよ?イベントまで､あと5日しかないんだぞ」

大輝「そんな事を言ったって､俺よりも歌が上手い人魚が何人もいるんだ｡お前もその1人じゃないか」

嶺亜は以前､音楽系のイベントに優勝した事がある｡

ちなみに､そのイベントに優勝した人魚は､

それ以降の音楽系のイベントには出場できないルールになっている｡

出場できなくなった嶺亜は次に､俺に優勝してほしいのだろう｡

確か､嶺亜はエレキギターを弾きながら､歌って優勝したんだっけ｡

俺の歌声は､嶺亜に及ばなかったんだ…(´・_・`)｡

嶺亜「おいおい､自信持てって!お前の歌声は､透き通っていて鈴を転がしているようだって､女王ファンテーヌが評価していたぞ(^-^)?」

大輝「そう言われても…(-_-;)」

嶺亜「どんだけネガティブなんだよ(^_^;)｡よし!大輝､ちょっと冒険しないか?」

大輝「冒険?」