弱虫で、強虫な。 2【JWEST】 (ページ21)

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66話ページ21

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Aは誰よりも仕事を優先してきた。

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風邪をひいた時も、

仕事をキャンセルしなくて。

ぶっ倒れることは多々あった。

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それでもAは

「ファンの人のためやから」

そう言うてしんどい素振りを一つも見せず

ずっと笑顔で頑張っていた。

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そんなプロ意識が高いAに

「心配やったから」

なんて言うたら絶対絶対怒られる。

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「濵ちゃんのこと待っとる人おるのに、

私のこと優先させたらあかんやろ？」

なんて言われるかもしれん。

それが分かっとるからなかなか言えへんかった。

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貴「 …はぁ、まぁええよ」

濵「え？」

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ええよってどういうこと？

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貴「濵ちゃんのことや。

私のことが心配で来たんやろ？

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濵ちゃんが私のことが心配で

少クラに集中出来ならそうやなとか思って、

淳太くんあたりが

頭下げてスタッフさんにお願いしたんやろ？」

濵「な、なんで分かるん？」

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めっちゃ当たっとるやん！

エスパーなん？

エスパー神南なん？！←

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貴「シンメの濵ちゃんのことや。

よう分かっとるよ」

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Aは口を押さえながら笑う。

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濵「 …お、怒らへんの？」

貴「え？」

濵「俺、抜け出してもてんで？」

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怒られる準備出来とるんやけど…←

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貴「あぁ正直最初はなにしとるんやって思たけど、

濵ちゃんならそうする思てたし。

しかも、濵ちゃんの顔見たらなんかもうええやって。

顔見たらなんか安心したし笑」

濵「 A… 」

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「マイナスイオン出まくっとるんやろね」

なんて言って笑うAの手を握って俺は、

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濵「これからはなにがあっても俺が守るから」

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そう言った。

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貴「…なんやねん、照れるやん」

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俺の手を握り返した

あの時のAの笑顔が今でも忘れられん。

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