弱虫で、強虫な。 2【JWEST】 (ページ9)

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54話ページ9

濵田 side

事務所へと向かう車の中。

車の中はいつも通りの騒がしさ。

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運転しとる照史にちょっかいかける望。

しげにウザ絡みをされとる淳太。

朝早かったせいかウトウトする神ちゃんと流星。

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見とると相変わらずやなぁ。

なんてしみじみ思う。

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でもその輪の中にAはおらんくて、

Aはイヤホンを耳に指して外を見ていた。

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念願やった8人でデビューが出来て、

テッペンとるで！って頑張ってたのに

いつから俺らの関係にヒビが入ったんやろ？

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いつから【 8人】で目指すはずの夢が、

Aを省いた【 7人】で目指す夢になっていた。

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Aと出会ったんは約11年前。

入所日は俺の方が先で、

その4年後くらいにAが入ってきた。

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当時Aはまだ中学1年生で、

ジャニーズ初の紅一点ということもあり

世間から注目を浴びていた。

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でもやっぱ、ジャニーズに女の子が入ることは

周りからよく思われへんくて、

アンチとか他のJr.からの陰湿なイジメを受けていた。

これは直接Aに聞いたことあるし、

俺もその光景を見たことがある。

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俺も最初は「どうせすぐ泣いて辞めるやろ」

「女やしな」って馬鹿にしとった。

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でも、Aは辛いはずやのに絶対弱音を吐かへんくて。

それどころか人一倍努力して

悪く言う人らを見返そうとしとった。

そんな姿を見たら、

悪く思とることがあほらしくなった。

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話しかけてみたら気さくで可愛い子やったし、

注目されとるからって

調子に乗っとる感じやなくて。

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それからプライベートで2人でどっか行ったり、

当時BOYSとして活動していた俺と活動することも増えて、

AもBOYSに途中加入することになった。

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俺の大切なシンメがいなくなったときには

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貴『私が濵ちゃんのシンメになるからっ！』

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なんて泣きながら言うてくれたの

今でも覚えとるよ。

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みんなが切磋琢磨しとったあの時が懐かしいな。

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なんて俺は昔のことを思い出しながら、

Aの背を見ていた。

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