209話 ページ22
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確かに今の私にファンの皆さんを笑顔にすることは出来ない。
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アイドルとして立つ最後のライブ。
絶対成功させたいし、
来て良かったと思ってもらいたい。
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でも、今の私にファンの人を笑顔に出来る資格なんてあるんやろうか？
あの輝かしい舞台に立つ資格なんてあるんやろうか？
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たくさんの人に迷惑かけて、傷つけて。
そんな私に。
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ファンの人を笑顔に出来ないアイドルなんて意味が無い。
なら、私は。
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貴 「 ファンの人らを笑顔にすることなんか
今の私に出来るわけない。
そんな資格すらももうないねん 」
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“ 最後のライブは精一杯やるつもりやけど ”
そう付け加えて康二から視線を逸らす。
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私はアイドルを突き放すことを選んだ。
ファンの人の気持ちを一番考えとる康二なら分かるやろ？
生半可な気持ちでおる私にはもう
ファンの人を笑顔にすることなんか出来んのや。
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向 「 お前…それ本気で言うとるんか？ 」
貴 「 …うん 」
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ｶﾞﾝｯ!!!!!
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「「「 ！？ 」」」
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向 「 お前、ええ加減にせえよ。
何の為にお前を今まで支えてくれたり、
応援してくれた人がおると思とんねん！
そんな人らをお前は裏切んのか！？ 」
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康二は近くにあったゴミ箱を蹴ると、
声を荒たげてそう言った。
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そんな康二の姿に私らは息を飲んだ。
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向 「 …こんなやつと今まで一緒に活動しよった思うと呆れる。
お前のこと心配した俺がアホやった。
“ がっかりやわ ” 」
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貴 「 康…二…？ 」
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康二は私をキッと睨むと、部屋を出て行った。
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作者名：凪優月
| 作成日時：2016年6月4日 16時
