207話 ページ20
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貴 「 ！？ 」
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大吾が心配そうな顔をしながら私の顔を覗き込む。
その顔はどこか悲しそうな顔で。
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西 「 なんで…泣いとるん？ 」
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焦りも混じったような声でそう言った。
泣いてる？私が？
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慌てて指を頬に当てると確かに濡れていた。
口に入ったのか少ししょっぱい味がする。
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なんで私、泣いてるん…？
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西 「 …なぁ、Aってもしかして、
“ もう一度メンバーと仲良くしたい ”
とか思ってたりする？ 」
貴 「 え…？ 」
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大吾の問いかけの意味が私には分からんかった。
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なんで…そんなこと聞くん？
私、そんなこと一言も言ってへんのに。
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西 「 今見て思ったんやけど、
Aが俺らを見る目。
どこか寂しそうな目をしとる 」
貴 「 寂しそうな…目？ 」
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西 「 …俺が言うとることは確証ないし、
Aの気持ち次第やけど、
もしそう思っとるなら…
1歩進んでみてもええんちゃう？ 」
貴 「 ！？ 」
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どういうことなん？
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西 「 後悔…したくないやろ？
もし、辞めることが嫌やと思うなら素直になってええんちゃう？ 」
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大吾はそう言うと
「 まあ、俺が勝手にそう思てるだけやから
気にせんでええで 」と付け加えた。
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“ 辞めることが嫌 ”
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そんなことない。
私はもうあの場所には戻れんし、戻りたくない。
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ただ柊真らのことが羨ましいなと思っただけで、
戻りたいなんてこと…思うわけ…
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ない…はずなのに…っ。
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なんで…こんなに涙が溢れてくるの？
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作者名：凪優月
| 作成日時：2016年6月4日 16時
