34.春、3年目 ページ34
3年に進級した。
悟と夏油くんは特級になった。それからさらに2人はそれぞれ1人で任務に行くようになり、4人で集まることも段々と減っていった。私は専ら修行中だ。それでもやれることは徐々に増えてきて、今では硝子ちゃんの研究の手伝いなんかをしてたりする。
悟とは上手くやれていると思う。お正月、屋敷に帰った時は冷たい感情をぶつけられたけど、きっとそれは禪院直哉のあの言葉を伝えたから。私のせいだ。
でもあの日だけだった、あれ以降は悟は優しい。それこそ子供の頃のように。私を迎え入れてくれる。任務で忙しくても夜、よく部屋に呼んでくれるようになった。きっと大丈夫、悟の気持ちに応えられる。だからもう少し、私が皆を大切に、手伝えるようになったらきっと心の底から悟のことを求められると思う。この世界をくれてありがとうって。
午前の座学が終わって、今日の午後はお休みだった。悟は任務に出ていて、硝子ちゃんも研究で忙しいらしい。夏油くんも任務に行ったと夜蛾先生は言っていた。
共同スペースで式神についての資料を読んでいた。簡単な式神ならなんとか使えるようになってきたけれどそれでもまだまだ未熟だった。
ドアが開く音がして目を向ける。後輩が2人、入ってきた。
「A先輩!」
元気な声で名前を呼んでくれたのは灰原くんだった。彼はいつも私をみかけると声をかけてくれる。いつも笑顔で元気な彼は太陽みたいだと思っていた。隣にはうるさそうに目を細める七海くんがいた。
「今日はAさんだけなんですか?」
私の座っているテーブルの近くまできて、私を覗き込む。まん丸の目はキラキラしていて、七海くんと並ぶと2人は正反対だな、なんて思った。
「悟も夏油くんも任務で、硝子ちゃんは研究なの」
「そうなんですね!」
隣のテーブルに2人は座る。コンビニで買ってきたのかおにぎりたちを取り出して口いっぱいに灰原くんは頬張る。七海くんはパンだった。
「今からお昼?」
はい!と応える灰原くんは人懐っこい。かわいいなぁ、なんて思う。
「Aさんの隣、いつも五条さんがいるから1人だと変な感じがしますね」
七海くんが私をちらりとみて話す。確かに、珍しいかもしれない。
「そういえばAさんと五条さんって双子なんですよね!どっちが上なんですか?」
もぐもぐとおにぎりを頬張りながら灰原くんが尋ねてきた。口元に米粒がついていた。
「どっちが上とか分からないんだ。もともと私の存在は無かったから」
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作者名:雛形 | 作成日時:2022年1月4日 8時