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18.あの時の光 ページ18
男が私の方へ足を向ける。足元からゆっくりと男を見上げる。その動作に昔を思い出した。
あのとき、私は松の下で本を読んでいた。視界に影ができて下から上に見上げたのだ。
──お前、五条の人間か
あのとき、担ぎあげられていたから、下ろしてもらった。腰が抜けて座り込んだとき、目の前の男を見上げたのだ。
──別に、気づいたらやってただけだ
その声を思い出す。
思い出した、その口元の傷を。
思い出した、絶望からの光の存在を。
だから、今。目の前にいるのが何故彼なんだ。
悟を刺して、黒井さんを殺して、理子ちゃんを追うのが何故彼ななんだ。
「どうして……、あなたが」
口から出た言葉に力はなかった。男はただ私を見下ろしている。
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作者名：雛形 | 作成日時：2022年1月4日 8時
