甘いの ページ5
お昼前、自販機の前。
昨日はよく眠れなかった。授業中も眠くて仕方なかった。
後でノートちゃんと写させてもらわなくちゃ。
自販機のボタンを押す。
「……あっ」
気付いた時にはもう遅くて、間違って押した物がガゴン、と音を立てて落ちてきた。
しかも炭酸ジュース。
炭酸はピリッとして苦手。
「もう小銭ないし……」
捨てちゃうのももったいないし、飲むしかないか……。
「あ、A〜!」
後ろからつい昨日聞いた声。
振り返れば笑顔で手を振りながらこちらに小走りで向かってくる菅原先輩の姿。
「こんにちは。お昼ですか?」
「そ。Aは?」
「私もお昼ですよ。でも……間違えて苦手なジュース買ってしまって」
「ふーん……?もしかしてA、結構ドジっ子?」
少なからずその言葉にカチンときた。
「ち、違いますよ。今日はたまたま……」
「苦手ならそれ俺にちょーだい」
「えっ、あぁ。いいですよ」
炭酸ジュースを渡すとじゃあ俺もなんか買うから選ぶべ、と先輩らしいことを言った。
「じゃあ、ピーチティーがいいです」
「Aはピーチティーが好きなの?」
「はい。甘くて美味しいですよ」
「じゃあ俺も今度買ってみよ。はい、どうぞ」
ありがとうございます、って言う前に菅原先輩は行かなきゃ!、って走って行ってしまった。
「……私も今度炭酸ジュース飲んでみよ」
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作者名:エビチャーハン x他1人 | 作成日時:2018年9月28日 2時