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大人の階段ページ2

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カーテンから微かに差し込む朝日が眩しくて、薄らと目を開けると見慣れない部屋に一瞬戸惑った

枕元に置いた携帯は不在着信とメッセージの通知で埋め尽くされていて、時間だけ確認すると電源を切ってもう一度目を閉じた

これからどうしよう

頭の中で不安だけがぐるぐると駆け巡り結局眠りにつけず時間だけが過ぎていく

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どれだけ悲しみに暮れても、どれだけ辛く苦しくてもお腹は空くし、かかとの靴擦れは痛む

ホテルを出て角を曲がった所にあるコンビニでおにぎりと缶酎ハイ、絆創膏を買った

そのままコンビニの前にしゃがんで
泡が吹き溢れそうな酎ハイを一気に流し込むと胃が燃えるように熱くなり、弾ける強さの炭酸で少し咽せた

しばらくして、ベージュのパーカーを着た若い男が現れた

彼は買ったばかりの新しい箱から取り出した煙草を咥えて、慣れない素振りできっと中身が無いであろうライターで何度も何度も火を着けようとしていて

そんな姿を見るに見兼ねて、気が付けば

『ライター、使います？』

なんて言葉が口から溢れていた

突然声を掛けられて驚いたのか、彼は持っているライターを落としてあたふたしながらも

「貸してもらってもいいっすか？」

と言うので、自分のポケットに入っていたライターで火を貸してあげた

彼は一吸いするとすぐに咳き込み、付けたばかりの煙草を灰皿にねじ込んだ

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「ははっ、無理だわ」

「俺にはまだ煙草早かったっす」

どこか悲しそうに笑いながらライターを渡してくる彼の頬には爪で引っ掻かれたような痛々しい赤い痕

彼の悲しそうに笑う顔が、あの人のあの時の顔とそっくりで胸の奥がぐっと握られたように苦しくなった

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