アイのカタチ (ページ8)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:38,777 hit

サンタクロースはやってこないページ8

.

『運転手さんあとどれくらいかかりそうですか？』

「あと20分はかかるね」

『まじかあ』

只今の時刻PM21:00、いつもならもう既に店に着いている頃

今日はやけに道が混んでいて、もう少し早く起きればよかったなんて後悔しながら携帯を開いた

「どうせまだ着かないでしょ？」

流石ふっか、私のこと何でもわかってるね

『ごめん。まだかかる』

そう返信して窓の外を見ると、世間はすっかりクリスマスモード

嫌になるほど流れるクリスマスソングと、眩しいイルミネーションが街を歩くカップルをこれでもかと照らしていた

.

『運転手さんはいつまでサンタクロースの事信じてました？』

「僕はね、中学卒業するまで信じてましたよ」

とバックミラー越しに微笑んできた

「お姉さんは？」

『全く可愛げの無い子供だったんで、サンタクロースはいないって思ってました』

「そうですか。でもきっといつかお姉さんの元にサンタクロースは来てくれますよ」

そう言って渋滞した道路を抜け風のように車を走らせた

.

「ごめんなさいね、仕事間に合いそうですか？」

『いえいえ、私こそ無理言ってしまってすみませんでした』

「あ、ちょっと待って。こんなので申し訳ないけど少し早めのメリークリスマス、仕事頑張ってね」

お釣りと一緒に可愛い苺がプリントされた飴を3つくれた

『ありがとう。頑張るね』

包みを広げて口に放り込んだ苺味の飴は懐かしい匂いと甘酸っぱさで

『そういえば、元気かな』

昔の恋人を思い出した

.