君と願い ページ9
その日、彼は休暇だった
久しぶりの休暇で、朝から全く起きる気配のない彼に少し心配になってしまう
「ぱぱ起きないね」
「疲れてるんだよ！」
心配そうにする二人の子供をそっと、恐る恐る撫でると二人はこれでもかと言うほど目を丸くした
「ままが撫でてくれたー！」
「ままー！」
記憶を失ってから全く触れていなかった為か、颯と恵は花が咲いたような笑みを浮かべながら抱きついてきた
温かくて柔らかい、小さな身体は心地よくて、涙が溢れそうになる
「まま、頑張って早く思い出すね」
掠れた声でなんとかそう絞り出して言うと、二人もちょっと涙ぐんでこくこく頷いた
二人が無事に登校班と共に登校するのを確認してから、私はふぅとため息をついた
──────今日は記憶を失って以来、初めて1日二人きりになる
愛する旦那さんと二人きりで休暇を過ごせるなんて、普通誰しもが喜ぶはずなのに、今の私には不安でしかなかった
(普通に接すること、出来るかなぁ…)
私に襲いかかるのは骨の髄から湧き上がる本能的な恐怖。誰も、どうやってもそれはどうすることができない
──────でも、家中にある彼との思い出の欠片に触れる度、心が温かくなるのは事実だった
(私は彼を、彼を嫌いたくはない)
心からそう思うから、願うから、そうありたいから、だから──────
ふと目を覚まし、俺は重い瞼をすぐに見開いた
ハッとして目覚まし時計を見れば10字21分
(どれだけ寝過ごしたんだ…！)
そう思い、がバリと起き上がり、突然我に返る
「今日、もしかして休暇なのか…？」
冷静に思い返してみれば、今日は久しぶりの休暇だった
強ばっていた身体から一気に力が抜け、俺は寝台に沈み込む
──────が、それと同時に重要案件を思い出した
「Aと1日二人きり…？」
う、と胸に来るものがあり、俺は呻いた
仕事に行っていてもAの記憶喪失はショックなのに、ずっと一緒にいたらそのショックは果たして何千倍だろうか
自分を怖がるAの様子を見るのは心臓を槍で貫かれるのと同じくらい苦しい
「…ダメだ、俺がしっかりしなくちゃ」
助けると、ついこの間誓ったばかりなのだ。弱気になっていたら何も始まらない
俺は朝から固く決意をして、自室のドアを開けた──────
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした！上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…！心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます！これからも応援してます！ (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです！この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした！他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました！とても面白かったです！時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません！いい小説です！もう言葉に言い表せないくらい！ (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません！気づきませんでした…！ミリオも大活躍でしたよね…！段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…！感動して頂けて嬉しいです！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…！気づきませんでした…。ありがとうございます！最後まで読んでくださってもう感激です…！本当ですか！？なんだかとっても嬉しいです！執筆頑張ってください！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年5月7日 17時
