君と愛情 ページ16
思わぬ言葉に目を丸くするとAは切なく細めた目でじっと、俺を見つめていた。
「私のどこを好きになって、…お付き合いし始めたんですか？」
探るような瞳。半分期待と不安に満ちた、そんな瞳。
「どこ、か…。正直なんて言っていいかわからないんだ」
ポリポリと頬を掻く俺のそんな台詞にそれまで真剣だったAの表情がぽかんとする。
「初めて人質だったAを助けたときから、『あぁ守ってあげたい人だな』って心から思った。
それからは一緒の職場で働いて…、色んなことがあって。
素直で、少し抜けてるところもあるけど頑張り屋で…、もっと色々あるんだ。だけど言葉になんか出来ない。
気づけば『もっと近づきたい』『もっと触れたい』『愛おしい』って思うようになっていた。」
彼女との思い出がたくさんありすぎて、思い出しながらそう語ると、Aはぎゅっと手を握ってきた。
「わ、私のことは…、そう、思いますか?」
微かに震えた声音。Aは泣きそうな表情で俺にそう問いかけた。
──────あぁ、そうだ。
点と点が繋がって線になったような感覚。なんで彼女がそんな質問をしたのか。
きっとそうだ。彼女が求めているものは俺から与えられる安堵。
──────もう、わかっていただろ。彼女が俺に想いを寄せ始めたことくらい。
「記憶を無くしてしまった私でも、そう、思えますか…？」
ぽろ、瞑った桜色の瞳から涙が零れた。
あぁ、俺はなんて馬鹿なんだ。
彼女が目を覆おうと離した手を制して、俺は涙に濡れる頬を優しく包み込んでそっと涙を拭った。
「……怖い？」
「…優しすぎる貴方のことを、怖いなんて思いたくない…っのに、少しだけ、怖いの…。
でも、でも…、どうしても、どうしても」
そこでAは震える瞼をゆっくりと開いて俺をしっかりと見つめた。
「貴方に愛されたいと思ってしまう私がいる」
──────貴方を愛してます、環さん。
「A…っ」
思わず、彼女に了解も得ずに強く強く抱きしめた。いや、かき抱いた。
切なくて、愛おしいという感情が胸の奥から湧き上がってくる。
「思うよ…。記憶を無くしてしまっても、AはAだ。
君を愛おしいと思うし、君に愛されたいと願ってる
今だって…、Aからの言葉が嬉しくて堪らないんだ…」
あぁ、格好つかないな、なんて思いながらも涙が頬を伝っていく。
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした！上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…！心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます！これからも応援してます！ (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです！この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした！他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました！とても面白かったです！時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません！いい小説です！もう言葉に言い表せないくらい！ (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません！気づきませんでした…！ミリオも大活躍でしたよね…！段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…！感動して頂けて嬉しいです！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…！気づきませんでした…。ありがとうございます！最後まで読んでくださってもう感激です…！本当ですか！？なんだかとっても嬉しいです！執筆頑張ってください！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年5月7日 17時
