君と頭痛 ページ2
「Aって、何かに取り憑かれとるんやないの？」
ぽちゃん、真っ黒なコーヒーの中に真っ白な角砂糖が落ちる。
白かった角砂糖は徐々に形を失い、溶け、闇の中に消えていった。
カップの中を、シルバーでぐるぐるかき混ぜる。白という概念はすっかり失われてしまった。
「縁起でもないこと言わないでよ」
カップを持って紅茶を一口飲むと、友人はコーヒーカップをかたん、と置いた
「だって、今まで何回事件に巻き込まれたん？
人質事件に幼児化事件…、路地裏で襲われそうになってしまったし、誘拐に惚れ薬事件…。それに猫化事件やろ。
もう、うちAが心配やねんて」
「もうなんか驚きを通り越して慣れちゃったよ…」
あはは、と笑う私に友人はムッと顔を顰めた。
「慣れてどうすんねん！
これ偶然やない、見える…。なんかAに付いとるのが見える…！」
「やめてよ、大丈夫だから！」
お気に入りの喫茶店で、友人とそんな他愛もない話をしながら時間を過ごして
「あ、もう時間や
行かなあかん！」
これから彼氏と静岡観光やから！と、晴れて付き合えたカフェのイケメン店員さんが迎えに来て、友人は幸せそうに行ってしまった。
私もそろそろ帰ってご飯の支度しなくちゃなぁ、なんて思いながら席を立つ。
いつものように見慣れた道を歩いて、立派な我が家に辿り着く。
庭に放り出された玩具にもう、と頬をふくらませながらポストを覗いた。
カタン、何かの音がする────手でまさぐると、1枚の手紙が入っていた
「なにこれ────」
宛先のない手紙を、吸い込まれるように開く
その手紙を見た途端────まるで頭を後ろから殴られたかのような頭痛。
「ぅあ…っ、いっ…！」
鋭い痛みに耐えられず、私は地面に倒れ込む
ぜぇぜぇと呼吸をして、必死に芝を掴んで進もうとするのに、力が入らない
「はぁ…っ、ひゅ、ぁ」
呼吸も上手く出来ない────苦しい、苦しいよ
涙で霞む視界の中、目の前に大きな影が現れる
「────シナリオの始まりだ」
そう不気味に囁く男の声を最後に、私は暗い闇の中に沈んで行った
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした！上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…！心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます！これからも応援してます！ (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです！この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした！他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました！とても面白かったです！時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません！いい小説です！もう言葉に言い表せないくらい！ (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません！気づきませんでした…！ミリオも大活躍でしたよね…！段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…！感動して頂けて嬉しいです！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…！気づきませんでした…。ありがとうございます！最後まで読んでくださってもう感激です…！本当ですか！？なんだかとっても嬉しいです！執筆頑張ってください！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年5月7日 17時
