True End いずはっぴー ページ4
侑くんの旋毛を見つめる。真剣な場面なのに、金色のサラサラな髪の毛を垂らしてしゅんとした侑くんが可愛く思えてしまう。
「…私も」
言葉を発すると、侑くんは小さく肩を揺らした。繋いだ手の力をぎゅっと強めるその姿は、まるで小さな子供のよう。
「私も、あつむくんが、すき」
自然と笑みが零れて、真っ直ぐそう伝えると、侑くんはがバリと顔を上げた。まん丸に開いた金色の瞳がじっと見つめて、形のいい唇が開いた。
「…ホンマか?」
「本当だよ」
「嘘とちゃうやろな?」
「侑くんじゃあるまいし、嘘つかないよ」
まだまだ自信の無さげな姿に笑ってしまうと「お前、言うやんか…」と呟いて侑くんは抱き着いた。大きな身体がのしかかって、長椅子に手を付きながら体制を維持すると、侑くんはぐす、と鼻を啜った。
「…侑くん、泣いてるの?」
「喧しわ、涙やってでるわ、本気で好きやもん…」
普段の格好いい姿は何処にいったんだろう。もしかしてこれが侑くんの本当の姿なのかな。そんな風に自惚れてしまうほど、どうやらいつの間にか彼を好きになっていたようだ。
だったら私も、と長椅子から手を離してぐっと侑くんを押し返すように抱きしめた。自分より遥かに大きな身体、包まれる匂い、体温に心が高鳴っていく。心臓が「すきだ、君が好きだ」と叫んでしまう。
(もっと、好きになりたいな。もっと、好きになって欲しい)
そんな想いで侑くんの肩に顔を埋めていると、いきなりぐぐーっと侑くんは私を離した。離れたのにも関わらず、彼との距離はゼロに近い。そう、目と鼻の先。端正な顔が目の前に来たかと思えば、侑くんは私の頬を両手で包み込んだ。
「これから、もう俺やないとあかん〜ってくらい、大切にするからな!惚れさせたるからな!拒否権は無しやで!」
まるで宣戦布告。宣戦布告なのに、どこまでも不器用で、それでいて愛に満ちている。金色に涙を溜めた侑くんは、唇を噛み締めて私の返事を待っていた。
「拒否権なんか、あっても使わないよ…」
精一杯のYesと溢れる恋の気持ちを込めてそう答えると、侑くんは「それなら、えぇんや!」と声を張り上げてもう一度強く私を抱き締めた。
ようやく、王子様と村娘は結ばれましたとさ。めでたしめでたし。
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静狐 - 最初から最後まで読ませていただきました!!この作品すっごく好きです!!文化祭のところとかもうにやにやしながら読んでました!台本変えちゃう侑がかっこよかったです! (2020年7月23日 3時) (レス) id: 0292f2bd22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 望叶mokaさん» こちらこそリクエストありがとうございました!消化が遅くなってしまってすみませんでした…。でも喜んで頂けて本当に嬉しいです!素敵なネタで書くのが楽しかったです! (2020年5月8日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
望叶moka(プロフ) - リクエスト答えて下さりありがとうございます!もう最高すぎです………(≧∀≦) (2020年5月6日 0時) (レス) id: b04e5afd09 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます!うわぁあ、夢中になって読んでくださって嬉しいです!私もこんな風にアプローチされたいなーと思いながら書いてました(笑)コメントとっても嬉しいです! (2020年4月19日 20時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - コメント失礼します。今日一日で最後まで読み切れてしまうほど素敵な小説でした、、、!侑くんと治くんのアプローチにずっと胸がギュンギュンしました〜(;_;)! 最高です! (2020年4月17日 18時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あろま | 作成日時:2020年3月28日 21時