我儘で素敵な気持ち ページ3
私を必死に見つめたまま、彼は握った手もそのままに、言葉を続ける。
「散々泣かして、傷つけた俺が言うんは無茶苦茶やけど、お前の特別になりたいねん。お前の隣にずっといたい。これからお前のこと笑わせられるようんなりたい。ちゃんと好きやって言いたい。大切にしたい。俺に向かって笑って欲しい」
ひとつひとつの台詞に、侑くんの想いが滲み出て────────これは、真っ直ぐな不器用だ。バレーをしているときは面食らう程器用なのに、彼はどうにも人間関係に関しては不器用らしい。
そこで言葉を区切って深呼吸をしてから
「そんくらい、本気で好きやねん」
と、告げる声音は真剣味を帯びていて、金色の瞳はもう揺らいでおらず、不安なんか除いて私だけを見つめていた。
「嘘ちゃうから、本気やから…」
そう縋るように呟いて、侑くんは俯いてぎゅっと手を握る。なんだろう、もう、胸がいっぱいだ。
最初からそうだった。いつだって侑くんは真っ直ぐな不器用で。それだから、強引にでも私を外の世界に引っ張り出して、変えてくれた。
あれから毎日が変わった。侑くんの存在が、私の日々を変えてくれた。ずっと、息を潜めて生きていこうと思った。目立たないように、誰かから嫌われないように。
だけど「そんなの怖くないやん」て侑くんは私の背中を思っきり押してくれた。だから、あぁ、生きていいんだ、輝いていいんだ、って気づけた。
侑くんといると、自分が自分でいられる。自信を持って「佐原A」ですと名乗れる。相乗効果かもしれない。影響を与えて、与えられて、二人で一緒に伸びていく。
────────そんな、高めあえる関係に、なりたい。
これからも、私を高めるのは侑くんであって欲しいし、侑くんを高めるのも、私でありたい。
侑くんの隣にいたい。そこにいるのは私じゃないと嫌だよ、なんて、そんな独占欲まで芽生えてきた。
答えは出てるのに、胸がいっぱいで言葉が出てこない。想われるって、こんなに苦しくて、嬉しい。
以前白井さんに教わった、好きっていう気持ち。
ずっと、ずっと、侑くんの隣にいたいって、強く想う、我儘で素敵な気持ちだ。
わかったよ、侑くん。
私もね、貴方の事が、好き。
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静狐 - 最初から最後まで読ませていただきました！！この作品すっごく好きです！！文化祭のところとかもうにやにやしながら読んでました！台本変えちゃう侑がかっこよかったです！ (2020年7月23日 3時) (
レス) id: 0292f2bd22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 望叶mokaさん» こちらこそリクエストありがとうございました！消化が遅くなってしまってすみませんでした…。でも喜んで頂けて本当に嬉しいです！素敵なネタで書くのが楽しかったです！ (2020年5月8日 23時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
望叶moka(プロフ) - リクエスト答えて下さりありがとうございます！もう最高すぎです………(≧∀≦) (2020年5月6日 0時) (レス) id: b04e5afd09 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！うわぁあ、夢中になって読んでくださって嬉しいです！私もこんな風にアプローチされたいなーと思いながら書いてました（笑）コメントとっても嬉しいです！ (2020年4月19日 20時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - コメント失礼します。今日一日で最後まで読み切れてしまうほど素敵な小説でした、、、！侑くんと治くんのアプローチにずっと胸がギュンギュンしました〜(；＿；)！ 最高です！ (2020年4月17日 18時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年3月28日 21時
