その素顔、俺に見せて【宮治】

世界一幸せな日 ページ15

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半分と半分が合わせればひとつになるのなら、今溢れる程幸せなのだったら。

合わさった幸せは大きな大きな幸せになるね。


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「緊張してらっしゃるんですか？」

パチ、とピンで、髪の毛を留める美容師さんの声に、思わず肩を跳ねてしまう。

「えぇ、朝から緊張でどうにかなりそうで…」
「なんでですか？やっと旦那様と結ばれる、世界一幸せな日じゃないですか」

微笑みながらそう言う美容師さんは、同い年くらいか少し年上だろうが、やけに大人びて見える。


「宮様、とっても綺麗ですよ。ほら、見てください」


その言葉に恐る恐る顔を上げると、信じられないほど綺麗になった自分の姿。自分が普段しているメイクよりずっと綺麗に見えて、髪の毛のセットも予想以上にずっと素敵だ。

「凄いです…！ありがとうございます！」
「ふふ、やっと笑ってくれましたね」

笑顔が1番ですよ、と付け足して美容師さんはスプレーを手にした。緊張でずっと握っていた拳を開いて、左手の薬指に光る婚約指輪を見つめる。



────────あぁ、今日本当に、私結婚するんだ。



その後仕上げをして控えていると、家族が様子を見にやってきた。そうかと思えば皆してポロポロ泣き出してしまって。私は必死に「泣かないでよ」って背中をさすって、涙が出ないように堪えた。



「宮様、そろそろお時間でございます」


ノック音と共に男性のスタッフが呼びに来て、私は父の腕にそっと腕を添えた。


「…こんな日が来るなんてなぁ」
「やだ、そういうこと言わないで」


フレーム越しの瞳を柔らかく細めて「結婚おめでとう」と父は言った。すっかり白くなった父の髪の毛と、皺のある表情にまた目じりがツンとしたけれど「ありがとう」と笑って返した。

大きな大きな扉の前で、ゆっくり足を止める。左右のスタッフが静かに扉を開ける────────その先には、ステンドグラスを通した幻想的な光。そして、身体を包むのは華やかな音楽と、お客さんの拍手。

一直線に続く真っ赤なヴァージンロードの先には、此方を向く治がいる。目が合った途端、ぐっと眉を顰めて、目尻を押さえて…やだ、泣いてるの？

そうかと思えば、とびきりの笑顔を私にくれた。

その笑顔に向かって、1歩、1本、震える足を、前へ。左手端の椅子の1番前に座るお義母さんとお義父さんが穏やかな笑顔で見守る中、隣には侑くん。

その後ろには角名や銀島くん、それから北さんや尾白さんなど、バレー部の面々が連ねていた。

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