やっぱり苦手 ページ19
「…勉強、そんなに楽しいんか？」
「ううん、楽しくないです」
互いの誤解を解き、心置き無く話す──────までの仲には残念やけどならず。でも、軽く言葉を交わすようにはなった。
「楽しくないのに、なんでそんなにしとるん？」
「…必要だから…？」
俺が首を傾げると、佐原も同じように首を傾げた。てっきり勉強好きのガリ勉女やと思っとったけど、そういう訳でもあらへんようや。
「宮くんがバレー練習するのと一緒じゃないですかね」
「いや、俺はバレー好きやし」
「…確かに。でも、試合っていう本番に向けてコツコツ練習するでしょう？私も、テストに向けてコツコツやるんです」
教科書見ずに課題を解いてく佐原の横顔とその台詞は、やたら既視感があって。誰かに似とるなーと目を凝らしとったら、北さんの顔が思い浮かんだ。
「…似とるわ、うちのバレー部の主将に」
「…？私バレー出来ないですよ」
「そういうことやない！」
思わず突っ込んでまうと、佐原は「本場のツッコミ」と呟いた。ホンマに此奴は、思っとったより普通の奴や。
「佐原って何が好きなん」
つい好奇心で聞いた。その質問に佐原はシャーペンを止めてこちらを向いた。心做しか少し楽しそうにしながら「えっと」と語り出す。
「そうですね、歴史とか、あ、動物好きです。もふもふしてる動物。あとは食べる事とか…」
「ほー」
正直1番初めに教科名が来ることには引いてもうたけど、話を聞くとやっばり普通やった。
「スポーツやってへんの」
「やってないですし、本当に私苦手なんですよ。ちなみにバレーでいうとレシーブが前に飛ばないです」
「末期やな」
レシーブが前に飛ばん──────想像するとかなりカオスで、それでいて恐怖やった。前に飛ばんてなんやねん。小学生以下やんか。心の中でそんな悪態を吐きながら「此奴あかんな」と思っとると、佐原は「…だから」と言葉を紡ぐ。
「宮くん凄いと思います。1つの事を夢中で突き詰めて、やり続けて、努力して。ただでさえ凄いですけど、バレーが出来ない私からするともっと凄い」
佐原の台詞に自然と息が止まっとった。目の前の佐原は、そんな止まった呼吸には気づかんで、伏せた目を上げて、俺を見つめた。
目と目が合う。真っ直ぐな目や。いつもどこか遠くを見とった目が、俺をしっかり捉えとる。あ、此奴の視界に"宮侑"として入っとる。そう思わせるには十分すぎるほどの眼差し。
「…さよか」
此奴、やっぱり苦手や。
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
