普通の女子 ページ6
4限の終わりをチャイムが告げ、俺はすぐさま財布を持って食堂へ向かう。
途中同じクラスの女子から弁当もろて、腹減ってたから丁度えぇわ、と受け取った。
金額を入れて、一人分の日替わり定食券を購入する。緑色に光るボタンを押した直後、ボタンは赤色へと変化した。
「…あ」
「あっ」
後ろで悲しそうな声がする。振り向けば、いや、見下ろすと、佐原が無表情で固まっていた。その手には430円。ちょうど日替わり定食の料金。
呆然と券売機を見ていた佐原やったけど、俺と目が合った途端「気にしないでください」と目を逸らされた。
(目ぇ逸らすっちゅうんはホンマやな)
手元の弁当箱と日替わり定食券を交互に見つめる。
いや、そないなつもり無かったんに、俺は。
「…いる？これ」
最後の日替わり定食券を、佐原に渡しとった。
(あれ、俺なにしてんのやろ)
今日の日替わり定食はあろう事かデミグラスハンバーグだ。ずっと前から目をつけていた。それを今、目の前の佐原に上げようとしている自分を、脳内で冷静な自分がビンタした。
「…え！いや、そんな、悪いです」
すると佐原は見たこともない目をかっぴらいた表情してブンブン頭を振った。表情の変わりようとその突飛な行動に笑てしまいそうになる。
「いや、えぇって。俺弁当あるから」
「…でも」
「いやホンマにえぇから。もう言ってもうたし。ほら」
佐原の手に日替わり定食券を渡し、そしてその手からお金を受け取ると佐原は目を丸くしてから口を開いた。
「…ありがとう、ございます」
控えめに、嬉しそうに微笑んだ佐原に、俺は気付かされた。
弁当を広げると案の定ハートののり弁やった。
(ハートののり弁とかマジで古いしダサいんやけどな)
量少ないなーと思いつつ周りを向くと、ごっつ嬉しそうな顔で手を合わせとる佐原がおった。
少し遠く離れた席からその様子を見とると、ナイフとフォークでハンバーグを切って、その1口を口に運び──────。
ぶわっ。
瞬間笑顔になると、ハッとしように口を手で抑えた。モゴモゴしながら無表情に戻る様子。
(もしかして、誰かに見られたないんか)
俺、いつも見とるけどな、と唐揚げを口に放り込んで顔を上げると丁度目が合った。
その瞬間──────恥ずかしそうに顔を赤らめて目を逸らした佐原は、全く能面女やなくて。
(飯食うの好きな、普通の女子やんけ)
そんな誰も知らんような事実に、俺は初めて気付かされたんや。
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
